「.hack//SIGN」というアニメの重大なネタバレ話になります。

このアニメの放映はとうの昔に終わっていますが、ＤＶＤやビデオテープになって

現在ビデオレンタルショップで借りて観る事が出来ます。

　もし、この先「.hack//SIGN」を観る機会があるかもしれない人は、

ネタバレ覚悟でこの先を覗いてくださいね。

（もちろん、「.hack//SIGN」を全く知らない人でも分かるように書いたつもりですので、

興味のある方は先に進んでみてください）
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

　「.hack//SIGN」は、あるネットゲー（インターネットを使用したゲーム）

を舞台にしたストーリーが展開されるアニメです。

　そのアニメのキャラクターの一人に「昴（すばる）」という名の女の子プレイヤーがいます。

彼女は、物語のヒロイン格で、ストーリーの元となるネットゲー「The World」内の治安を

守る為に結成されたプレイヤー側の自治組織「紅衣の騎士団」の長でもあります。

「紅衣の騎士団」について語り出すときりが無いので、

（途中で「紅衣の騎士団」は無くなっちゃう、とか）今は、

「『昴』はある組織のリーダーである（であった）」という程度の理解で十分です。

彼女は、「紅衣の騎士団」の団員達から絶大な信頼を得ています。

また、自分の殻の内に閉じこもりがちな、決して社交的とは言えない主人公に、

「一緒に居て欲しい」と言わせ事が出来る包容力のある女性でもあります。
 

　そんな、人を惹きつける何かを持っていて、人をまとめる事も出来て、

自らの行動に責任を取れる立派な女性である彼女「昴」ですが、

実は、現実では彼女は病院暮らしをしている病弱な女性で、立つ事も出来ません。

車椅子生活をしています。（もちろん、「The World」内ではちゃんと立ってます。

実際に動かしてる「昴（仮名）」が立てないからといってプレイヤーキャラクター「昴」

が立てないなんてことはないですから）
 

　「昴」の実際の姿を見たとき、「ああ、この子は私と同じだなぁ。」と思ってしまったんです。

別の所でも言っている通り、私は障害者です。左腕がほぼ使用不能で、走る事は出来ません。

でも、私のネットゲー内のキャラクターは言うまでも無く両腕が普通に使えてて、

世界中（まだ行ってない場所も沢山ありますけど）を駆け回っています。

恐らく、私の実際の姿を見た事のない人間は私の事を障害者だとは絶対に気づかないでしょう。

（気付いたらたいしたものです。と言うか、神でもない限り不可能だと思いますが）
 

　という前提の元で、「昴」が何故「The World」をやるのか。

「昴」自身の口からはその答えは一度も語られた事はありませんが、別の登場人物が

その問いに答えています。「「昴」は現実ではできない事を「The World」の中でやろうとしている。」と。

「昴」は、体が弱い為に、実際にはあまり激しい運動をしたり、友達と何処かへ遊びに行ったり

する事は出来ません。だから、「The World」というインターネット上にだけ存在する

架空の世界で楽しんでいるんです。普通、こういう事をやっていると

「現実逃避をしている」とか言われてしまうものですが、その登場人物はこう付け加えています。

「でも、俺はそれが悪い事だとは思わない。」と。「昴」は、責任が取れる立派な人間だと。

まあ、そうですよね。責任も取れないような人間が組織のトップを勤める事など到底

できる筈もありません（実際の世の中では責任を取れない人間がトップを

勤めてる事もあるようですがねぇ？どうなんでしょうねぇ〜？）。
 

　ゲームの中で、自由に（とはいっても組織のトップとしての制約とかはありますけど）

世界を旅し、戦い続けた彼女の姿を見ていて、私は、「ああ、私は「昴」のように

なりたかったんだなぁ。」と思い知らされました。

　世界を自由に旅したい。でも、金も力もなく、体も悪い私に一人自由に旅をする事など

到底出来ない。ならば、せめて架空の世界上では自由に旅してみたい。

　私は、インターネットゲームの世界では自由に旅をしています。

では、私は「昴」のように責任ある行動をとれているでしょうか？

……正直、全く自信はありません。今だから白状しますが、過去に何度も裏切り行為を

働いてしまいました（いわゆる「チート」行為や犯罪行為とは全然別です）。

出会った仲間達を何度も切り捨ててしまいました。

所詮は匿名の世界だし、架空の世界です。だからといって、私は

なんでもしていいとか無責任な行動をしつづけてもいいとは思えません。

匿名とはいえ、確かにそこには人が存在するのですから。
 

　私が、ネットゲーを続ける理由……それは、実際には出来ない「旅したい」という欲求を

ゲームの中で満たすという事と、せめてゲームの中だけでは責任ある行動を取れるようになったら

いいなっていうこの二つの理由なんだろうなぁって、今は思えます。