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田:それで、足を折ると生きていけないというのは、体重が約500キロ近くあるので、1本でも折ると、残りの足にそれぞれ約130キロくらいの重さがいってしまい、折った足をかばうがため、他の足に負担がいってしまう。それと、歩くなどの運動ができなくなることで腸が動かせないため、最終的に腸の機能不全による腹痛で苦しんで死んでしまうんです。また、骨が折れてからだいたい30分から1時間以内の間に痛みでショック症状を起こすんですよ。それで痛みを堪えるがために腹痛を起こしたりするんです。だからもう、今の段階ではできるだけ早く楽にさせてあげる、ていうのが最善の方法。苦しませて死なすよりも、できるだけ安楽死をってのが今の考えなんです。競馬なんかでもね、骨折したらその場で安楽死をとってあげるというのはあれが唯一人間からの愛といえば愛なのじゃないかと。
―現代の医療でも、助けられないものなのでしょうか?
田:はい。現代でも無理ですね。例えば腸の機能障害を起こしたとき、開腹手術などはできないかとも考えますよね。でも馬は立たしておかないといけない動物。同じ方向に寝てると重さで壊死してしまうんです。 でも、あれだけの内臓量の体を立たしたまま開腹手術ってとてもじゃないけど、内臓が重すぎて縫合してもくっつかないんです。ですから開腹手術という事は現実的にできないんですよね。とにかく腸トラブルが命取りなので、毎朝毎晩、便のチェックもものすごく神経を使っています。(次回に続く)