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―馬に接する上で、一番気にかけてらっしゃることはなんですか?
田:骨折と便秘です。腸のトラブルが命取りになるので。あまり知られてないことですが、馬って便秘をすると3日で死んでしまうんです。腸がかなり長い生き物で、薬を飲ませたり、浣腸してみたり、マッサージしたりと手は尽くしますが、それでも届かない位置で詰まってしまった場合は、もう…すぐ「覚悟」をしないといけない。経験上…だいたい3日で死んでしまいますね。腸が詰まると、ものすごく苦しんで、とても可哀想な最期になってしまう。だから、それを避けるためにも異変にはすぐに気づいてあげなければならない。馬は自分で痛いって言えませんから、夜もよく、厩舎に様子を見に行きますね。寝てて、厩舎からなんかバタンバタン聞こえるから行ってみると、自分の小屋の中でたまに寝返りに失敗して、壁に足がつっかえて、起き上がれなくなってる子とかいますし(笑) それを起こしてあげたり…どこか痛くて苦しんでいる子はいないかとか、いつも本当に神経を張り巡らせて生活しています。
―馬は足を折るともう生きていけないと聞きますが本当ですか?
田:本当ですが、亡くなる原因としては、今言った腸のトラブルが圧倒的に多いです。骨を折るなんてのは本当に少ないですよ。うちでは31年の間に3頭だけ。