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骨董品との出会いは、得てして縁の部分が多分にあります。
 大聖寺伊万里との出会いは、「古伊万里の贋物は出回っているけれど、大聖寺の贋物は今のところ出回っていそうにない」との骨董屋さんの言葉がきっかけでした。大聖寺伊万里って何かもわからない中、参考になる本や図録を探してみましたが、石川県九谷焼美術館発行の「大聖寺伊万里展」の図録と、一冊の文庫本だけでした。
 集めた作品をもとに、某お店で「大聖寺伊万里展」を開催し図録も作成しましたが、やったということの満足に終わった気がします。伊万里ほどの歴史はないけれど、大聖寺伊万里の繊細さ、豪華さ、品の良さをより多くの方に知っていただきたいと、HPを開設することにしました。大聖寺伊万里か古伊万里か判断の分かれるものもあります。何かのお役にたつことができれば、それが何よりのしあわせです。

● 大聖寺伊万里 ●
大聖寺伊万里とは・・・
 大聖寺(現 石川県加賀市)で焼かれた焼物で、伊万里焼染錦様式の写し物が多く、その特徴として絢爛豪華な作品が多いため、度々元禄伊万里の品と見間違うほど、非常に出来の良い優品が多々あります。最近では元禄伊万里物が大変高価で品薄になっている関係か、大聖寺伊万里の品に人気が集中する傾向があります。
 過去には上記の様な経緯から大聖寺の品は伊万里物より格下に見られておりましたが、手間暇を惜しまず、手抜きをしない高い技術で生産され、また、出来自体は決して本家伊万里の品に見劣りする物では無く、陶磁器愛好家の間では、同時代の伊万里焼より大聖寺伊万里のほうが高く評価されています。
 技法的に見ても金彩を施す為に三度焼きをする等、非常に手の込んだ作品になっております。
 製造が始められた頃のものは、大変繊細で緻密に描かれています。派手でありながら品も兼ね備えているのが当初の大聖寺伊万里だと思います。しかし、大聖寺伊万里も他の磁器と同じく、デザインは後生に引き継がれていきますが、時代が下がるにつれ、徐々に細部が省略され、一見同じように見えても雑な仕上がりになっているように思います。
 大聖寺伊万里で上手と言えるのは、幕末から明治中頃までのものではないでしょうか。

大聖寺伊万里特有のアマテ????
 いろいろなサイトを見ていると、「大聖寺特有のアマテです。」という言葉が目に入ってきます。「???」と感じられずにはいられません。伊万里にもアマテはあります。確かに、伊万里焼に比べてその割合は高いと思います。このサイトに掲載している大聖寺の作品を見てお分かりいただけると思いますが、アマテは大聖寺特有のものではありません。アマテはアマテ、決して言葉に引っかからないように気をつけていただきたいものです。

輝く金彩
 大聖寺伊万里の色絵には、沢山の金彩が施されています。私見ですが、上手の大聖寺伊万里は繊細に描かれ、そこに施された金彩もそれを邪魔せず、落ち着きのある輝きでその品位を保っているように思いまます。
 しかしながら、大聖寺伊万里も伊万里と同様に延々と焼き継がれてきていますから、ある時点から金彩の輝きが変わっています。洋食器に見るような“ピカ〜ツ”と光る輝きです。このサイトにも「昭和期」として掲載していますので、他のものと比較してみてください。時代判別のひとつの基準になるかも知れませんね。

大聖寺伊万里は軽い
 大聖寺伊万里の陶石は、もともと伊万里の陶石と違うわけですから、器の重さにも違いがあります。大聖寺伊万里の陶石は伊万里に比べて粗いのですが、粘りがあるため薄く成型することができたんです。そのため、同じ大きさの伊万里に比べて軽く仕上がっています。上手のものほど薄く軽く作られています。もちろん、角向付など厚めに成型されたものもありますが、伊万里と持ち比べてください。その違いがおわかりいただけると思います。

上手と・・
 大聖寺伊万里は九谷焼の伝統をも引き継いでいますから、色使いや筆使いが素晴らしく、色も伊万里に比べて鮮やかです。大聖寺伊万里と言うと、まず菊皿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。一見同じに見えても、内抜きになっているもの、裏絵は染付で描かれているものや、表絵も様々なものがあります。
 上手かどうかを選ぶ一つのポイントとして(これも私見ですが)、見込みを見ます。多くの菊皿は何弁かの菊花模様の上に菊の枝と華が描かれています。上手のものは、花弁と花弁との隙間には枝も菊花も描かれていません(右図)。たいへんな手間をかけているわけですね。
 これが時代が下がるにつれ、この丁寧さが無くなり、べたっと隙間の上にも描かれるようになります。
 手を抜いてないもの、これが上手の一つの条件になるかも知れませんね。

※ 作品のページに記載している時代は、購入の際に告げられた若しくは記載された時代を掲載しています。学術的な観点から異なるご意見もあろうかと思いますが、予めご了承ください。



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古伊万里などの鑑賞陶器はもちろんのこと、色絵にはすごくこだわりがあるなぁって感じられるホームページです。お店は狭いですが陶磁器が沢山で楽しいお店でした。