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文化と飾り

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宮良殿内(みやらどんじぃ).
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3月21日。水。晴れ。波照間〜石垣島フェリー。90/20キロ。

 

 波照間を9時30分朝一番で離島。80人乗りの離島通いの連絡船は、荒波を乗り越える度に、船首が垂直に持ち上げられて、次の瞬間海面に叩き付けられる。まるで船の五体投地だ。私の愛車はデッキに紐でくくりつけているのだが、私も横に座り、抱えるようにして揺れから守る。生きた心地がしないが、島の人達は平然としている。

1030分石垣着。早速明日の石垣島〜那覇のフェリーの切符を求めに行ったのだが満席で乗れない。台湾の基隆から名古屋までの便が週に三便あるうち、木曜日の一回だけ石垣島に寄航する。明日乗らないと、次の週まで船が無い。一等ならありますということだったので、仕方ない奮発した。石垣市は人口四万の大都市だが、やはり離れ島なのだ。

 

宮良殿内(みやらどんじぃ)という、石垣島伝統の民家を見学した。台風の強風から守るため、屋敷の周囲に石垣を回らし、丈夫な瓦で覆われた四画推の低い屋根、シロアリから守る欅の建築材、通風に配意した、南西向きの構え。これらの特色を備える民家も今は、市が保存しないと、どんどん消えている。

ここで生活しながら解説員もしている、宮良さんの話が面白かった。

曰く「沖縄の文化の特徴は飾りが無いことです。飾る余裕が無かった」

機能を最短距離で満たす様式美に支えられた文化。飾らない人間の率直さこそ、沖縄なのだ。その沖縄の中で、失われない物を残しているのが、石垣島なのだ。

夜はこれまた、思い切り飾りのない、泡盛の癖をたっぷり残した、「しまゆり」で酔っ払った。明日はどうせ一日船で寝るだけだ。

 

 島百合の 膝を枕に 酔いつぶれ

 

 

 

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