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　関門越え

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　４月１日。日。曇り時々小雨。下関。６２５/５８キロ。

　旅をしていると、色々な人に出会う。出発したらすぐの坂道で自転車がパンクしている人がいた。トライアスロンをしている、ハンドルネーム「ぶらりあん」という人。工具を貸してあげて、少し話しをする。

　トライアスロンといえば、石垣島から沖縄のフェリーで知り合った、筑波大学のSさんも、沖縄から北海道まで自転車で旅をしていた。

　４９５号線を走ったのだが、垂水峠のあたりで伊予柑を売っていた。丁度ペットボトルも切れていたので買ったのだが、売り子のご婦人にサインを求められたのには驚いた。悪い気はしないので、書いたのはいいが、字にならない。当人は歐陽詢ばりの楷書で書いたつもりだが、これだけ崩れると行書に見える。まあどんな落書きでも、千年も大事にして貰ったら重要文化財になるかもしれない。

　門司で、自転車ですれ違った私と同年輩の男性に呼び止められた。ママチャリの後ろの籠にバッグが一つと前籠に買い物袋だけという格好からは想像もつかなかったが、これで神戸から四国、中国地方、九州と回っているそうだ。後ろのバッグは寝袋。元は演歌歌手だったそうで「少しは売れたこともあったのですが」と言われる。九州では流しみたいなことをしてみたいとか。殆ど野宿だそうで、これこそ正真神明の「日本列島ぶらぶら」だ。年齢は私より二つ上の七十三歳。神戸の吉田さん。敬服しました。

　総走行距離６２５キロ。鹿児島を出てから、約４００キロ。７日で九州縦断は、予定より一日早い。一つの関門、関門海峡を越えた。

下記URLはぶらりあんさんのHP

http://homepage2.nifty.com/burarian/

　一枚の　色紙に書き捨て　旅の恥