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 危うく野宿

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名勝磐船峡は

自転車の難コースでもあった。
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 4月14日。土。晴れ。笠置(京都府)。1398/81キロ。

 

 何度も道に迷い、笠置に着いたときは日も暮れた7時。宿は無い。危うく野宿の経験をする。

 

 大阪から三重を経て海岸線に出るまでは、難所の一つと覚悟はしていた。しかし道は大阪から東へ走ってさえいれば、標識を見て見当がつくだろうと思ったのが甘かった。

 まず吹田で、一号線の歩道が切れる。やむ得ず横道に入ったら、現在位置も方角も分からなくなった。この辺で三重県に行きたいと尋ねても答えて呉れる人も返事のしようが無い。

一号線に戻っても自転車の走る道はない。途方に暮れていたら、土地の人が「歴史街道」という裏道を詳しく教えてくれた。とにかく迷路は抜けたが、先は遠すぎる。食事を兼ねて小さな喫茶店に入ったら、何処へ行くべきかまで相談に乗ってくれた。

 天の川沿いの自転車専用道路を通り、そこから岩船街道を抜けて奈良へ出る、土地の人でないと分からない道を教えてくれた。

 なんとか加茂に着いたのが5時。宿を取ろうと思ったら、宿その物が無い。

 駅前の交番に入ったら、「免許証を見せて下さい」という。自転車に免許証が要るのかと訝っていたら、家出人捜査願いが出ていないか調べられたのだ。

 「笠置まで行けば温泉地だから、何処かあります」ということで、更に6キロの山道を走った。

 民宿があったのだが、二軒とも断られた。夜露くらいはしのげるお宮を教えて貰って、野宿を覚悟したとき、苦境はあっけなく解決した。思い切って、笠置の入り口の小高いところにあったラヴホテルに行って頼みこんだ。

 な〜んだ。ここは二人分さえ払えば泊めて呉れるのだ。二人分でも一人分より安い王侯貴族の間。

 やれやれ。

 

 草枕 伽する姫は 膝小僧

 

 

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