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 プライバシー

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4月21日。土。曇り。沼津。1790/63キロ。

 

 由比町に2キロほど、太平洋自転車専用道路があった。なんとここにも例のマンホールがあった。殺風景な防波堤とテトラポットからは想像もつかないが、ここは広重の浮世絵に出てくる、波濤と松と富士の風景の街道だろう。残念ながら富士山は、地形の関係か、曇天の関係か見えなかった。

 沼津に近づくと、旧国道1号線沿線右に、幅100メートル近い壮大な松原が、10キロほど続く。ここも天気なら、左に富士山が間近に見えたはずだ。

 

 1889年以来隔年で発刊され80刊を迎えた交詢社発行の「日本紳士録」が、休刊になると報道されていた。プライバシー保護法の制定で、資料が集め難くなったというのが、一番の大きな理由である。

 そもそもプライバシーという概念は、個より集団を大事にする我が国にはなじみ難い概念だった。「悪いことをしないなら、何も隠れることはない」というのが、私の受けた教育である。

 個人の生活に干渉を受けないというプライバシーは、戦後個の確立を目指した教育基本法の中で育った世代には、すんなり受け入れられている。

 個人情報の保護はその大事な柱だ。

 ここまでは、私も理解できる。しかし理解出来ないのは、個人の秘密が隠れて悪いことをする権利と、誤用されている風潮である。

 それは、インターネットの社会において著しい。インターネットは、覆面のまま自己主張が出来る。そこで悪口雑言を垂れ流し、更には特定の個人に「謝罪せよ」と煽動し、付和雷同する無責任。

 プライバシーの確立は、「一人を慎む」責任が求められる。

 「ばれなければ、悪いことではない」

 村上ファンドやほりえもんを見ていると、そんな恐れも抱く。

 

 天は知る 地も知る 己は気がつかず

 

 

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