5月7日。晴れ。七戸(青森県)。2618/44キロ。
昨夜の雨も上がり、気温も16度くらい。知人の自転車屋さんの話によると、雨上がりはパンクが多いそうだ。理由ははっきりしないが、鉄くずや、ガラスなどの突起物が、雨で洗われ先鋭化するのだろうか。パンクの注意は難しいが、水溜りや、ゴミの上は走らないこと。
出発の準備をしていたら、昨夜の宿泊所の従業員のご婦人が、私の自転車の荷物を見て、お国言葉で話しかけられた。方言は旅情を豊かにしてくれる。「津軽弁はいいですね」と言ったら、「この辺は南部弁です」とのことだった。
私にとっては、福島から北はみな同じ東北弁だ。仙台で徳島ナンバーのバイクの青年と話したとき、すっかり「故郷の訛り懐かし」の気分になった。阿波弁と伊予弁は全然違うのだが、東北で聞くと同じ故郷の訛りだ。
4号線の最高地点は、458メートル。この辺は海岸線まで緩やかなアップダウンを繰り返しながら、高地を走る。十和田市に入って西向きに直線を走っていたら、前方に雪を頂いた富士山のように整った山が見えた。
今日の予定地七戸は近い。少し時間調整をしないと早く着き過ぎてチェックインが出来ない。丁度、あまり自動車が停まっていない暇そうなコンビニがあったので、油を売ることにした。
まず富士山のような綺麗な山は、八甲田山の一つの山だと教えて貰った。トイレを借りて「ありがとがんす」と礼を言ったのだが、きょとんとして通じない。今朝教えて貰った南部弁だが、発音が悪かったのかな〜?
暫く話しているとき「野辺地までは、遠くてよういかんもんね」と言ったら、店の娘さんが「それ四国の言葉だ!」と大声を上げる。学生時代四国のお友達が居たそうだ。
前後ろが分からないほど日焼けした顔。墨を塗ったように真っ黒な手の甲。この正体不明のお爺ちゃんの身元が割れて、伊予弁と南部弁の会話が更に弾んだ。
どうもお邪魔しました。
陸奥に 旅の恋風 伊予訛り
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