5月8日。火。晴れ。青森。2683/65キロ。
宿を出ようとしたら、女将さんが「却って荷物になるかもしれませんが」と一本のペットボトルを差し出された。私の一番必要な物をさりげなく下さる。
今日は、この自然も人情も美しい青森のラストランだ。波も静かな青森湾を右に見ながら「美しい日本」の感傷に浸る。
折りしも「美しい日本」を提唱する安倍首相が、靖国参拝の報道があった。私は靖国参拝そのものは、本質的に国内問題だと思っている。美しい日本も大賛成である。
危惧するのは、侵略の歴史を認めない人、靖国参拝を支持する人、過去の日本を美化しようとする人が、かなりの部分で重なることである。
中国の人にとって、中国は「美しい中国」である。
朝鮮の人にとって、朝鮮は「美しい朝鮮」である。
何処の国の人にとっても、自分の国は美しい。
美しい他国を侵略したことへの謝罪が「自虐」であってたまるか。心からの自省である。悪いことは率直に謝る。それは日本人の美点ではなかったか。
かつて、長州の吉田松陰は「世界の全ての点が、世界の中心だ」と教えた。地球儀の上の球面にはどこも特定の中心点はない。二点間に線を引いたとき、上下高低の位置関係を作るのは、人間が作った緯度による。本来何処の国にも、何処の地域にも上下の格差は無い。まして、祖国の美しさに上下は無い。
明治維新を担った明治の元勲は、良い教育を受けていた。
悲しいかな、欧米は上アジアは下という風潮は、無神経に自虐を口にする人達にある。一度、松下村塾で学びなおして貰う必要がありそうだ。
地球儀を 返して探す 上と下
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