の記憶

「天秤の月」の設定資料です。

※最新追加項目:「登場人物」にルネット・サティン・コーディアの項目を追加

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+登場人物+

<本篇主人公>

ミルファ=ライザ=カドゥリール

世界を統べるよう定められた皇帝の第四皇女。
十七歳(第三章からは十八歳)。
母は南領妃サーマ。
 十二の年、《皇帝乱心》により実の父に命を狙われ、
自らが生き延びる為、そして父の凶行を止める為皇位を目指す事になる。
腰の辺りまである黒髪に、エメラルドグリーンの瞳。

十五歳の時に母の生地である南領にて挙兵。
以後二年、父である皇帝率いる帝軍と一歩も譲らない攻防を見せており、
彼女を旗頭にとその配下に下る者が徐々に増えつつある。

<主要人物>

ケアン=リール=ピアジェ

帝都に存在する唯一神ラーマナの大神殿に、
最年少記録を塗りかえる七歳の幼さで入った少年。
『神童』との誉れも高かった。
《皇帝乱心》時で十四歳。ミルファより二つ年上。
ミルファとは十歳の時に引き合わされ、
彼女の儀礼作法の教師として、また遊び相手として側にいた人物。
《皇帝乱心》時にミルファを助け出したものの、
ミルファが正気に戻った時にはその姿はなかった。
銀の髪に、空色の瞳。

ザルーム

《皇帝乱心》時にミルファに助力し、その命を救った人物。
ザルームとは『影』を意味する言葉で、本名ではないらしい。
強大な力を有する呪術師で、ミルファを主として忠誠を誓い、
その身を守り、皇位を目指す彼女を影ながら助力する。
常に赤黒いローブを身に纏い、その容貌はミルファでも知る所ではない。
声は陰鬱な老人のもので、唯一目の当たりに出来る手は骨のようにやせ細っている。

ティレーマ=サリス=セリエン

現皇帝の第ニ皇女にして神官。二十三歳。
母は西領妃アーチェ。
八歳までを帝宮内の大神殿で過ごしたが、
その後、母の生地である西領の主神殿へと移り、
今まで家族との関わりがないままに日々を過ごしていた。

神官としては『聖女』と呼ばれる特殊な地位にあり、
その名は皇女である事もあり、広く知れ渡っている。
赤瑪瑙の瞳に、金の髪の華やかな美貌の持ち主だが、本人にその自覚はない。

パリル壊滅からの一連の騒動の後、
腹違いの妹であるミルファと行動を共にする事を決意し、反乱軍に加わる。

ルウェン=アイル=バルザーク

第一皇子ソーロンに仕えていた騎士。二十四歳。
元々は皇帝に仕えていたが、《皇帝乱心》後、東の地へ流れ、ソーロンに取り立てられた。
『返り血のルウェン』という異称を持ち、
その戦う様は仲間からも畏怖を向けられるほど。
誰からも一目を置かれる剣技とその強運で、
東の反乱軍にとってなくてはならない存在になっていた。
しかし、普段の彼は飄々と捕らえ所のない性格と言動で、
真面目なソーロンの血圧を上げる事も数多かったらしい……。
焦げ茶の髪に赤紫の瞳。

《東領の変》を重症を負いながらも生き延び、神がかり的な早さで単身南領へ赴く。
セイリェンの戦いでの功績により、ミルファに騎士として正式に仕官する事となる。

???

西領にて魔物の襲撃を受けたミルファの前に現れた人物。
ザルーム同様、布で姿を覆い隠しており、
その容貌はわからないが、声の様子では比較的若い。
ザルームとは何らかのつながりがあるらしく、本人曰く『よく知っている』間柄。
ザルームは彼の事を『王』と呼ぶが、それは呼称であり、本名ではないようだ。
どうやら皇帝の背後にいる人物とは因縁らしきものがあるようだが……。

<その他>

コリム=セザール=ジェファウト 

前南領主にして、サーマ、ジュールの父。
ミルファが南領に辿り着いた頃はまだ健在で、
真っ向から皇帝の行いを否定、抵抗する姿勢を貫いていた。
現皇帝とは即位前から面識があり、年こそ離れているものの友人のような関係だったらしい。
サーマが皇妃になった経緯に関わりがある為か、
死の床に就くまでミルファに対する協力を惜しまなかった。

*New コーディア

現南領主であるジュールの婚約者で、将来の南領主夫人。
実質的にも南領館の女主人であるが、
南へ身を寄せたミルファの前にまったく姿を見せようとしない謎の人物。
リヴァーナ曰く、『亀に似ている』らしい。
優れた人物ではないものの、それ故にか人望はあつい。

*New サティン

南領にてミルファ付となった女官。
天真爛漫で人をほっとさせる所があるが、女官としての能力は微妙。

サーマ=フォリン=カドゥリール

現皇帝の皇妃の一人である、南領妃。ミルファの母。
《皇帝乱心》時に夫である皇帝の手によって殺害されてしまう。享年、三十二歳。
生前は長い歴史上、皇妃として初めて政(まつりごと)に関与。
皇帝の右腕とも言われ、多忙を極める皇帝を補佐していた。
黒髪に、青みがかった灰色の瞳。
なお、ミルファは母親に瞳の色以外は瓜二つ。

ジニー=ナイジェ=ベリル

南領の領館で伝令を務める少年。十五歳。
まだ仕官して日が浅いので、現在はほとんど使いっぱしり状態。
南領では比較的珍しい赤毛と痩せぎすな身体のせいで、
幼い頃は同年代の子供に苛められていた事もあるらしい。
そのせいで少々気弱に見えるが、向上心は高い。
密かに強大な力を有する呪術師であるザルームに憧れており、
いつかはその専属の伝令になれたら、と思っているらしい。
赤毛に、焦げ茶の瞳。

セイリェンの戦い以後、自ら反乱軍に従軍する事を志願する。

ジュール=アッダ=カドゥリール

現・南領主にして、ミルファの実の叔父。三十四歳。
南領妃サーマの弟で、姪にあたるミルファを公私共に支援する。
姉・サーマの事で、未だに皇帝に対してわだかまりを抱えているようだが……。
自軍とも言える南領の兵士をミルファに全て託し、彼女の武運を祈る。
黒髪に、黒い瞳。

ソーロン=トゥレフ=ガロッド

皇帝の第一皇子。二十五歳。
母は東領妃トゥリエ。
ミルファの異母兄で、《皇帝乱心》時、危機を察して東の地へ下り、
その一年後父である皇帝に対して反旗を翻した。
元々次期皇帝と目され、自身も相応の努力を払っていた為、
彼を支持するものは東の地を中心にしてかなりの数に昇る。
少々感情に左右されるきらいがあるが、基本的には聡明な人物。
ミルファに対して、良い感情を抱いていないようだが……。
栗色の髪に琥珀色の瞳。

フィルセル=リッド=マグリス

南領の領館に仕える施療師見習いの少女。十三歳。
南領に辿り着いたものの、その場で意識を失ったルウェンの看護を担当している。
明るく屈託ない性格だが、時々その発言に「黒い言葉」が混じったり、
怪我人に対しても容赦ない「制裁」を加える事あり。
両親共に医療に従事していた事から、施療師を志したらしい。
首の中頃で切り揃えた黒髪に、緑がかった薄茶の瞳。

セイリェンの戦い以後、ジニーと共に自ら反乱軍に従軍する事を志願。
彼女を天敵とするルウェンを多いに困惑させる。

リヴァーナ=シアル=トリーク

反乱軍に従軍している女性医師。二十六歳。
元々南の領館に仕えており、ミルファの挙兵の際に自ら進んで従軍を志望した。
ちなみに未婚。
いついかなる時も崩れない、見事なまでの鉄面皮を誇る。
その為、冷たいと思われがちだが、単に人並み以上にマイペースなだけ。
医師であったフィルセルの母と交流があり、フィルセルとは『生まれた時からの付き合い』。
その為、大抵の話はほぼ筒抜けである。
灰色の髪に、青紫の瞳。

南領主夫人(予定)のコーディアとは幼馴染の間柄。

*New ルネット=ボーシュ=チオン

北領の地方神殿に属する青年神官。十八歳(「心の扉」時)。
北の主神殿から大神殿へと向かうケアンの付き添いを勤め、
ケアンに大きな影響を及ぼした人物。
信仰心からではなく自身の探究心(好奇心)の強さから正神官に残っただけあり、
言動があまり神官らしくない。

登場人物 / 世界設定 / 用語解説

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+世界設定+

世界観

世界はいくつかの大陸と、それを取り囲む島によって構成されている。
中央に皇帝が直轄する帝都を置き、
それから各方角に向かって四つの地域(北領・西領・東領・南領)に分けられている。
四つの地方には、皇帝によって統治をゆだねられた領主が存在し、
基本的に世襲制をもって、各地を治めている。

世界は実際には表側と裏側が存在し、
現在人々が生を営んでいるのはその『表側』にあたるとされている。
遠い昔はその二つが混然一体となっていたとされているが、
真偽は定かではなく、また何故二つに分かれてしまったのかも不明となっている。

イメージ。

帝都

大陸中央部に存在する皇帝の直轄地。
当然ながら、流通の中心にして世界で最も栄えている場所でもある。
しかし、《皇帝乱心》時以降、帝都各地に魔物が姿を見せるようになり、
かつての平和にして豊かな空気は見る影もない。
唯一神ラーマナの大神殿もここに存在する。

北領

帝都より北側に存在する雪と氷に支配された土地。
《皇帝乱心》後、皇帝の言葉に従い、そこを頼った皇子を差し出したが、
その後は魔物の横行がひときわ激しくなり、現在は滅びの一途を辿りつつある。

西領

帝都より西側に存在する豊かな平原を有する恵み豊かな土地。
世界有数の穀倉地帯だったが、
やはり《皇帝乱心》後に出没するようになった魔族や戦いの余波で衰退しつつある。
西の主神殿に身を寄せる『聖女』第ニ皇女ティレーマが唯一の支えとなっている状況だが、
皇帝に対する抵抗勢力とまではなりきれていない。

東領

いくつもの島を有し、領地の大半が海という他の地とは一線を画す土地。
その為か魔物の出現も少なく、北領や帝都から流れて来る者も少なくない。
その地形上、帝軍の侵攻は困難だと考えられ、
反乱を志す数多くの兵士がその地に下った第一皇子ソーロンの元に集っている。

南領

領地の大半が樹海で覆われた緑多き土地。
魔物も出没してはいるが、比較的小康状態が保たれている。
第四皇女ミルファが挙兵した事で、
南領のみならず帝都や西などからも兵士志願者が集まりつつあるが、
その若さと女性である為か、まだ東領の勢いを超える程ではない。

宗教

唯一神信仰。
調和と均衡を司る神ラーマナ(太古の言葉で『天秤』を意味する)を奉っている。

各地方に一つずつその地方を束ねる主神殿が、
帝都に総本山となる大神殿が存在し、
世界各地に点在する神殿とそこに属する神官達をまとめている。

神官については用語解説「神官」の項目へ。

生活様式

文化水準はあまり高くなく、労力のほとんどが人力。
移動は基本的に徒歩。
帝都から南領に入るまでは最短でも大人の足で二月はかかる。
間に休息を挟めばその倍となり、途中に山岳地帯や河がある為、
季節によっては更に時間が必要となる。
他の地に関しても同様。
唯一例外が東領で、この地方は大部分の移動が海路になる為、
徒歩よりは早く移動が可能となる。

馬はまだ一般的ではなく、西領の一地方でのみ生息する生き物でしかない。
飼い慣らす技術を開発していたが、《皇帝乱心》により頓挫し、
再開までに長い時間を必要とする事になる。

連絡手段は人が走る以外に、伝書鳩を使用する。
ただし、特殊な訓練をした鳩を必要とする為、一般の民は使用出来ない。

人々の名は「第一の名=第二の名=姓」という組み合わせとなっており、
基本的に子は母の姓を継ぐ(故にソーロンとミルファの姓は異なる)
昔、生まれる前に名を決める風習があった為、
現在も名を二つ用意するのが当たり前になっている。
基本は男名と女名の組み合わせだが、
現在は二つとも男名であったり、女名であったりする場合も多い。
どちらの名を名乗っても構わない事になっているが、
その際、表記する場合などでは主に使用する名前が前になる。

登場人物 / 世界設定 / 用語解説

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+用語解説+
(50音順)

医師

主に内科的な分野を担当する医療従事者のこと。
調薬から出産まで扱う分野は施療師より幅広い。
出産が関係する為、女性の医師は多く、その半数を超えると言われている。

皇帝

世界を統べるよう神によって定められたとされる存在。
皇位は世襲制で継がれているが、
その際生まれの順は問題とされない(末子であろうと相続可能)
代々《陰陽の秤》と呼ばれるものを継承し、
それを守る事を神官と見届け人(皇族以外)の前にて誓約する事で皇位を授けられる。

皇妃

皇帝は一夫多妻制で、必ず四方の地から一人ずつ妃を娶るよう定められている。
それぞれの妃は出身地を冠して、《北領妃》《西領妃》《東領妃》《南領妃》と呼ばれる。

呪術師

異能の能力を有した存在で、現在でも唯一、太古の言葉を受け継いでいる存在でもある。
 能力は人によって異なるが、多くが博識にして特殊な技術を有している為、
なくてはならない存在として人々に敬われている。
神官と異なり絶対数が少なく、年々その数は減少の一途を辿っているという。

神官

唯一神ラーマナに仕え、皇帝と共に人々を導く役目を担っている。
《聖晶》と呼ばれる水晶のような石を手に握って生まれ、
物心がつくと同時に神殿に入り、
神の教えを学びながら自らの《神力》を高める修行を行うのが常とされている。
自ら殺生する事を禁じられており、その禁を犯した場合は神官の地位を剥奪され、
場合によっては半永久的に幽閉されてしまう事もある。

神殿には三つの階級が存在し、
地方神殿→(各地方の)主神殿→大神殿と右に進むにつれ、格式が上がる。
聖晶を持って生まれた子供が最初に入るのは地方神殿で、
多くの神官がここで見習い時代を過ごす。
なお、大神殿で正神官になるには、通常では軽く数十年はかかる。

神官の間には『位階』と呼ばれる細かい上下の別が存在するが、
その全てが名誉職のようなもので、あくまでも本人の実力を示す目印のようなもの。
上位になれば相応に責任は増すが、利権関係が生じる事はまずない。
むしろ上位になり過ぎると役職に応じて任される仕事が増える為に、倦厭する者がいるほど。
なお、見習いの上に当たる正神官までは全ての神官が対象となるが、
それ以降は本人の意思が尊重される為、その時点で還俗し一般の民として生きる事も可能。
ただし、その際は聖晶を自らの手で棄却しなければならない。
例外として、大神殿に関しては還俗が認められるのは見習いの時点までとされている
(大神殿に入る時点で通常は地方、あるいは主神殿で正神官になっている為)

聖女

神官の中でも一握りしか存在しない、特殊な神官。
 現在確認されているのは五名で、全て東西南北の主神殿のいずれかに属する女性神官。
 その能力は『癒しの奇跡』と呼ばれ、命に関わる重病も重傷も完治させてしまうと言われている。
 それは自らの力を媒体として、浄化や結界の創造を行う神官の中でも摂理を覆すものとして
尊ばれると同時に異端とされている。
本来の位階を無視して敬意を払われるが、大抵は上位の位階を得るのが普通。

聖晶

神官となるべく定められた者が、生れ落ちる際に手に握っている水晶のような外見の石。
自ら殺生を禁じられる神官の身を守る力を有するとされ、一人一人その色と形が異なっている。

所有者が死亡した場合は色を失い、
所有者が禁を犯したり、神官としてふさわしくない行いを取った際には粉々に砕けると言われている。

施療師

主に外科的な分野を担当する医療従事者のこと。
傷の治療から手術と、戦場においては医師よりも必要とされる職業。
その仕事内容から圧倒的に男性が多く、女性の施療師は現在ではかなり珍しい。

魔物

太古の昔に姿を消してしまったとされる異形の生き物。
 《皇帝乱心》後に再び姿を見せるようになり、時として人々を襲っている。
 恐るべき戦闘能力と再生能力を持ち、
倒すには首を落とすか、心臓を抉り出すより方法はない。
 一対一ではまず勝ち目はないが、必ず出現は単体の上、判断能力などは低く、
数人で当たれば倒せないほどではない。

獣並の知性しか持たず、単独行動が常と言われていたが、
《東領の変》では集団で現れ、中には言葉を操るものまで出現した。

登場人物 / 世界設定 / 用語解説

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