Kannaduki kaidan

グルグル幽霊

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               専門学生の時、寮に入っていた私は1月のある日に家に帰った。
              すると弟が興奮気味に「グルグル幽霊を見た!!」と言っていた。
              「なんだそれは?」というと、2〜3日前の出来事を話してくれた。
              宵っ張りな弟が夜中に寝ようと布団に入った。
              うとうととしかかった時に、誰かが布団の周りをグルグル歩いているのに気が付いた。
              最初は私が弟の部屋に来て、何か探し物をしていると思ったそうだ。
              しかし、夜中であり真っ暗な部屋の中で滅多に家に帰らない私が、わざわざこんな時間に来るわけない。
              そう気が付いた時、枕元で足音が止まった。
              「え?!」
              目を開けると、上から教会のシスターのような人の首から上だけが覗きこんでいたそうだ。
              「うわぁぁぁぁ〜〜〜っ!!」
              思わず大声をあげると、それはあたりの闇に溶けるように消えていったのだそうだ。
              布団の周りをグルグル周っていたから「グルグル幽霊」だと、弟は命名していた。
              「でも、一番こたえたのは、こんなに怖い思いをしたのにお母さんが隣の部屋から『夜中に大声を出したら近所迷惑だ
              よ』、と怒った事だ」だそうだ。



            



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Akemiya 1999