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 8月7日、長野県三岳村にある、名古屋大学太陽風観測所と東京大学理学部木曽観測所に行ってきました。この日は一般公開されていて、部外者が施設を見学したり説明を聞いたりできました。また、夕方7時からは星空観望会があり、参加しました。今年は1日だけということでした。

 朝8時過ぎに家を出、富山から41号線を高山へ向かって走ります。高山からは361号線を美女峠、朝日・高根・開田村、木曽福島と走り、19号線に出ます。19号線を南下し2〜3kmで右折、元橋という橋を渡りさらに2〜3km。ここからは地図もあやふやで心細かったんですが、大きな観光案内板があり場所を確認できました。
 案内板の通りに林道を車で登って行くとありました。ゲートの設置された脇道に「特別公開」の看板が立てられていて、そこから先は大学の敷地内になります。2時過ぎ着、家からここまで、だいたい220kmの距離でした。


 ゲートを通ってすぐ、左に電波望遠鏡が見えます。ここは名古屋大学太陽地球環境研究所の太陽風を観測する電波望遠鏡です。この研究所ではほかにもさまざまな研究を行い、太陽エネルギーが地球に及ぼす影響などを研究しています。
 普通、電波望遠鏡というとレーダーのような、お椀型のパラボラアンテナを想像しますが、まったく違った形をしています。しかも太陽を追いかけるように、東西の方向にしか動きません。大きさが南北27m、東西75mとのこと。そばまで行きましたが巨大な建造物ですこれは。観測中なのか、向きを少しずつ変えていました。

 湾曲した4本の腕同士には金属線(ピアノ線)が張り渡されてこれが電波を反射させ、直線に伸びた4本の腕を連結している骨組みに多数設置されたアンテナが受信します。受信するのはUHF帯だそうです。


 電波望遠鏡の土台と仰角制御部

 ダイポールで構成されたアレイアンテナ(T字型で多数並んでいる)
 横方向に一面に張られたピアノ線もかすかに見える

 
 この電波望遠鏡で太陽系を飛び交う太陽風を電波として捉え、立体的に観測できるそうです。東西の方向にしか動かないのに不思議です。ただ、太陽の方向だけでなく、いろいろな方向が観測できるそうです。なにしろ地球は自転しており、公転しているわけですから。
 また、天候や昼夜の別なく観測できる(相手は電波)そうです。
 将来はさらに大型の電波望遠鏡を計画しているそうです。

 次は東大の夜天光観測所です。ここでは超高層(上空100kmとか300kmとか)の大気が光る現象「夜天光」の観測施設です。

 この分野の研究はあまり進んでいなくて、何の役に立つのかもはっきりしていないそうです。
 装置は魚眼レンズにフィルター、SBIG製CCDとデータ処理のコンピュータです。それと日周運動に自動追尾する赤道儀です。観測装置部分は屋上に設置されています。
 所内では、得られた画像とデータがコンピュータ画面に表示されていました。ディスプレイ上に、魚眼独特の丸い視野には星の光とともに空一面に夜天光の、波のようなモヤがかった光が映し出されていました。また、4つほどの元素の発光グラフがありましたが、なかでもナトリウムの発光が印象的でした。以前は海水中のナトリウムが上空に昇ったためと考えられていましたが、流星に含まれているナトリウムが発光することがわかったそうです。
 ほかには、人工光が多くなっていることも観測されています。
 水蒸気の多い夏は、この観測にはあまり向かないそうです。ちなみに表示されていたデータ等は昨年12月のものでした。

 ここを出るといよいよシュミット望遠鏡ドームです。これはもう、いわゆる天文台風の建物です。


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