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1997年8月27日から31日までの5日間、種子島の宇宙開発事業団種子島宇宙センターの見学を目的に旅行してきました。この旅行記は某BBSに書き込んだものをLogから拾い掲載しました。文中、あきらかに間違っているものを訂正したことと、挿絵を入れた以外はそのままです。


Message # 91 is from: cavtot
Time: 97/09/14 11:43:31 Section 29: 旅のお部屋
Subj: 種子島徘徊(1)


 8月27日〜31日の日程で種子島へ行ってきました。
 27日と31日は移動日。28〜30日の中3日で島内巡りをしました。メインはもち、種子島宇宙センター。

 27日は午前10時に家を出、小松空港へ。車は空港の駐車場に止めました。搭乗手続きを済ませ、ヒマつぶしのポケットゲーム機を買い求め、空港内のレストランで昼食。

 12時50分発エアーニッポンのエアバスA320(乗客166人乗り)で鹿児島空港へ。途中、大分上空で少し揺れましたが、予定通り14時15分に鹿児島空港着。
 ここから日本エアコミューターのプロペラ機YS−11(乗客64人乗り)に乗換え。広い鹿児島空港の一番端、11番ゲートの階段を降り滑走路のエプロン(?)を数十m歩いてYSに乗り込みました。

 予定どおり15時離陸、おおっ、小型機だけあって揺れは大きい。ふわっと降下して、胃袋が浮き上がるような感じは、ジェットコースターより気持ちいいぞ。
 予定時刻の15時40分より少し早めに、無事種子島空港に着陸しました。

 小松を発ってから種子島に着くのに3時間弱。なんと、電車で東京に行くより早いではないか。あっという間に南国へ来てしまった。
 種子島くんだりまで行くなんて大変だろうなぁ、という先入感が吹っ飛んでしまいました。

 空港でレンタカーを借り、一路南へ。25km程走って夕方5時ごろ種子島宇宙センターに到着。宇宙センターの敷地内を車で走り、海に突き出た竹崎観望台に上がり、しばし黒潮の風を吸い込む。
 今日の観光はここまで。予約した民宿に上がり込む。


 31日、帰路は来たときとちょうど逆。種子島空港朝9時35分発YS−11機。来たときと違い、氷の上を滑るような飛行。そして鹿児島空港へ(この便、前日は燃料漏れとかで欠航したとか)。
ここからA320で小松へ着いたのは12時15分ごろ。鹿児島は晴天だったのに、小松に来ると厚い雲が垂れ込めて、揺れるかなと思いましたが、そうでもなかったですね。

 小松空港での駐車料金は、まる4日と2時間で4300円。

 徳光サービスエリアでちょっと遅目の昼食を済ませ、2時少し前、無事家に帰着。あー、やっぱり家につくとホッとするなぁ。

ということで、このあとから種子島で見聞きしてきたことの堅苦しい感想文を載せますんで、興味のない方は飛ばして下さい cavtot



Message # 95 is from: cavtot
Time: 97/09/16 16:48:04 Section 29: 旅のお部屋
Subj: 種子島徘徊記(2)

  以下、うろ覚えで書いているところがあります。また事
 実誤認の部分もあるかもしれません。 これは間違っている!
 というところがありましたら、ご指摘ください。


 種子島は北東から南西にのびる全長58km弱、幅5〜12kmの細長い島です。
 行政区域は北から、島の面積の44%を占め、海の玄関口西之表港を擁し、島の経済の中心でもある西之表市。島の中央部に位置し、種子島空港のある中種子町。そして、島南部で景勝地が多く、宇宙センターがある南種子町はもっとも小さく、西之表市の半分ほどの面積。というように分かれています。

着いた翌日は朝早く出発、すがすがしい景色を眺めながら、島内を一周しました。
島は総じて「のどか」という印象です。セカセカと走る車(私です、すんません)や、ちょっとした車の切れ目に割り込んでくるようなのはいません。道路もかなり整備されていて、所々工事中はありますが、山道やサトウキビ畑の中まで舗装されており、快適でした。

島のいたるところにハイビスカスの花やソテツ、青い実をつけたバナナの木など、まさに南国。
ゆるやかな丘陵が多いこの島は、サトウキビとサツマイモが主な作物です。どこへ行っても背丈以上のサトウキビと、イモ畑が目に入ります。
 また、肉牛など、畜産に力を入れています。
水を大量に必要とする稲作は島の河口付近に点在し、特に南種子町南部に多いですが、島全体の他の農業からみればほんの少しです。ここでは日本一早く米が収穫されるそうです。

いちばん面倒なおみやげは、西之表港に行き、みやげ物屋さんで一括購入、型通りのクッキーや漬物のほか、芋焼酎やサトウキビ焼酎なども手に入れました。これを宅配便で送ってもらいました。家に帰る前に届いているはずです。

 滞在期間中ずっと天気がよかったです。予想に反して日中の気温は富山とあまり変わらない感じです。ただ、夜は宿が海岸に近かったせいか、気温が少ししか下がらず、エアコンをつけてないと眠れなかったです。

 海がとてもきれいでした。南国らしく、無数のサンゴのかけらが砂浜に打ち上げられていました。海水浴客がどっと繰り出しているようすを想像していたんですが、広い海岸にまばらに見える程度。我々の住んでいる所に比べて、すごい贅沢な海水浴をしているように思いました。
 沖合いから直接波がやってくる「前の浜」では波が大きく、サーファーに人気の場所です。

 そういえば、宿の前の畑の真ん中にサーファーショップ(らしきもの)がありました。これがまた、掘っ立て小屋同然で。

空は青く、頭上の空は暗ささえ感じられる深い青です。その空から透き通った太陽光線が降り注いでいるという印象です。
 空のきれいさは星空で良くわかります。わし座からさそり座にかけての天の川の暗部の様子がはっきり見えるのです。そして、見える星の数が断然多いのです。肉眼でこれだけ多くの星が見えるとは思いませんでした。でも、これがほんとの星空なんですね。こんなきれいな星空は今住んでいるところで見ることはできないです。

             これで台風さえ来なければ最高 cavtot



Message # 96 is from: cavtot
Time: 97/09/16 16:48:49 Section 29: 旅のお部屋
Subj: 種子島徘徊記(3)


来てみたものの、COMETS打ち上げは半年延期。滞在期間中ロケットの打ち上げらしきものも何もなし。それを承知で来たんだけど、やっぱり寂しい。

ところが民宿のおばちゃんのはからいで、一般にはあまり見せない施設を見せてもらえることになりました。え〜そんなことできるの?? って、 実はおばちゃんのご主人は、宇宙センターの建設計画が持ち上がった当時、漁協の役をやっていて建設に協力したという、宇宙センターの功労者だそうです。
ちなみにおばちゃんの電話一本で、宇宙センターの何とか部の次長さんが民宿にじきじきにやって来て、見学のための身元確認と書類作成をしていきました。

で、NASDAの宇宙センターの管理棟に行ったら応接室に案内され、これからどこを見て回るかの説明を受けました。

説明では、初めに打ち上げ体験館。次に衛星組立棟、大型ロケット発射塔、大型ロケット発射管制棟を見せてもらえる予定です。

 普通、このように随時施設を見学することはできないそうです。しかし、宇宙開発事業団の実態をなるべく知ってもらえるように、定期的に一般公開をしているそうです。その時はロケット打ち上げ施設や、人工衛星追跡レーダー、管制施設を見ることができるそうです。

 説明を聞いて、さあ出かけましょうと外に出てビックリ。なんと運転手付きの宇宙センターの車に乗せてもらってまわるんです。説明に、女性の職員の方が付いてくれました。

 最初に打ち上げ体験館。ここは元は本物のロケット管制棟で、現在は誰でも自由に入館できます。操作卓の列や壁いっぱいの表示パネルなど、使われていた時のままに残っていて、この操作卓でボタン操作をし、ロケット打ち上げの前段階から、衛星切り離し完了まで、実際の打ち上げと同じプロセスでおこなう、シミュレーションゲームができるようになっていました。本物を使っているだけに、かなり現実味があります。

 壁のスクリーンでロケットの輸送から始まるストーリーを見ながら、ボタン操作で順に各プロセスのステージをクリアしていけば、壁面の表示パネルも順に点灯していき、いよいよ盛り上がってきます。そのかわり、失敗したときの落胆は大きい。ガクッときました。あくまでゲームなんですが、これを一通りこなせばいかに打ち上げが大変なものかが理解できます。

         さて次はロケット工場へ……  cavtot



Message # 97 is from: cavtot
Time: 97/09/16 16:49:29 Section 29: 旅のお部屋
Subj: 種子島徘徊記(4)

車に乗せてもらい、管理棟からロケット打ち上げ体験館、そしてロケット組立棟に来ました。
建物に入り、すぐ右に折れる通路を行くと両側にドアがあり、右は日産自動車の社員の控室。そう、日産はロケットも作っているんです。

左の、ハッチを開けるような円形のハンドルぐるぐるっと回すと、分厚い扉が開き、大きな格納庫か倉庫のような工場が見えました。
そこへ入っていくと、直径4m、長さが35mもあるという巨大な円筒形の物体が専用台車の上に横たわっていました。
この中にペットボトルの化け物みたいなタンク(もちろん金属製)が、直径いっぱいに入っています。円筒の端は縦にリブの付いた、分厚い金属の枠がはめ込まれていて、ここにロケットエンジンが取り付けられます。またこの枠には両端にブースターロケット二基が付くように、金具が出ています。

つまり、この円筒形はH−IIロケット本体なんです。この円筒形の重さが驚くなかれ、なんとわずか9t。この中に90tの液体燃料を積み、先端に数tの衛星を乗せ、メインエンジンの86tの推進力と、ブースターロケットの175tから250tぐらい(燃料の消費によって軽くなり推力が増す)の推進力を支えるのだから、ますます驚く。どこにこんな強度があるんだろう。
忘れてたけど、本体と衛星の間には、打ち上げ時に重さ20tの2段目ロケットも乗ります。
ちなみに、鶏の卵は全体の87%が中身。13%が殻だそうです。で、この本体は中身が90%以上。卵よりも軽い入れ物といえます。

ここは日産の職員が作業をしているので、中を動き回ることはできず、扉付近で説明を聞いていましたが、そのロケットに触れてしまう距離にいて、思わず寄りかかりそうになりました。しかし、中の配線などがむきだしの状態で、触ってはいかん、とのことでした。
とりあえずここで記念撮影。

ここを出て、衛星組立棟へ…cavtot


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