ギリシア神話によせて
〜星矢小説補足解説〜


 久しぶりじゃのう!曹亀じゃ。あらいベアーがもたもたしてなかなか更新せんもんじゃから、オリンポスの神々の解説が遅くなってしまったわい。
 これから、このサイトの小説が何故、オリンポス編であるのかということと、オリンポスの神たちの詳しい解説をするので、小説を読む上での参考にしてくれぃ!今回はギリシア神話の経緯と天文学との関係についてかいていくぞ!!


1、はじめに

 ギリシア神話といえば、このような神話ものの代表格であり、その優美でそして、あまりにも人間臭いドラマは、現在でも我々の心を掴んでやまない。さて、このギリシア神話は一体どこでどう生まれてきたのだろうか?星矢に登場するギリシア神話は、ギリシア神話の中でも特にメジャーな部分であり、ドロドロした人間臭い部分は除いてある。さらにいえば、当時の面白くてかっこよいものは全て取りこんでしまえ的な精神で作られており、お世辞にも、星矢単体でギリシア神話というものの本当の面白さは理解することはできない。
 かといって、僕自身、そんなに詳しいギリシア神話における体系を学んだわけでもなく、あくまでも総括的である。しかし、僕自身(あらいベアー)の星矢ページのコンセプトは、常に天文と星矢の橋渡しに中心が置かれているので、特にそこを中心にというかそういった視点で、ギリシア神話の総括をしていきたいと思う。

2.1、ギリシア神話とその起源

 ギリシアやローマといった、いわゆるギリシア・ローマ神話がさかんに作られた時代は、実は有史になってから割と新しい。人物でいえば、今までに出てきているエラトステネスや、哲学者のソクラテスなんかより少しふるい時代のことだ。西暦で言うと、紀元の前後とそれより、せいぜい千年程度なのだ。4大文明といわれるものはそれよりも、千年〜ニ千年は古いから、これら、ギリシアの文明が、独自に発展したとは考えにくい。
 では、ギリシア文明はどこから生まれたのか?
 それは、エーゲ文明と呼ばれる、地中海の貿易の文化を起源としているといわれる。4大文明のうち、エジプト文明とメソポタミア文明はこれらのエーゲ文明よりわずかに前に、ひとつの文化として融合していった(オリエント文明)。このオリエント文明は、特に天文学というものが異常なまでに発達していた。乾燥地帯であるということから、毎年の豊作のために命がけで天文学者が、気候を読み取らなければいけないということもあった。しかし、逆に乾燥しているため、空気が澄み、温帯地方などよりも、遥かに天体の観測に適していたと言うことがある。
 エジプト文明では、1年が365日であるということを知っていた。ナイル川の氾濫の周期をシリウス(おおいぬ座α)から導いたのだが、運良く365日というきれいな数値が導けた。これは単なる偶然で、今考えると非常に幼稚な方法で、全くの偶然から生まれた。しかし、これと、メソポタミア文明における60進法などの角度を表す概念が融合し、これらの文明では、現在の天文技術もびっくりの巨大天文学体系を完成させる。その際、星空のだいたいの方位と、高度を知るために、星空を住所わけした。それが星座である。星座はこれら、メソポタミア文明の天文技術の母体をなす民族と言われるシュメール人(カルデア人の祖先)と呼ばれる人々が作ったもので、メソポタミア文明が完成するころには、すでにシュメール人のほとんどの知識がこの文明と融合していたといわれる。シュメール人は、この地方に古くから伝わる神や聖霊たちを、天に当てはめていった。これらの中には、豊穣の神「バアル」や、大地母神「イシュタル」などがいた。やがて、これらの天文学は、船の航海に必要なので、エーゲと呼ばれる地中海沿岸での文化の発展を助けるのである。
 エーゲでは、これら、メソポタミアからやってくる貿易の民たちの口承で、さまざまな神話や伝承が伝えられたと考えられる。それは、地中海沿岸のギリシア・ローマでも同じことで、ギリシアの地域的な神と、これらメソポタミアの神が同一視され、現在のようになっていったと考えられる。たとえば、先ほどのイシュタルは、ギリシアでは、アフロディテであったり、ローマではビーナスであったりする。さらにインドには、ラクシュミという神と同一にされているから、文化の伝来というのはすごいもんである。イシュタルはギリシア神話では、デメテルの方が近いのだが、どこで食い違ったか、美の女神になっている。余談だが、金星の英語はVenusだが、金星上の山や地形は、Venusに関係する、これらアフロディテ、イシュタル、ラクシュミなどの名前がつけられている。さらに、余談だが、ギリシアの神話は下世話な人間ドラマをモチーフにしたいわゆる芸術的な方向へと進化していくが、メソポタミアでは、シオンを中心とする唯一神を信仰する者と、土着のバアルを信じる者に2分していた。これもキリスト教の誕生により、ユダヤ教の一部はキリスト教にいい様に丸められ、土着の神は悪魔として烙印を押された。
 結局のところ、これらのいわゆるヘレニズム文明といわれる頃のもっとも原型に近い形で保管されているのが、ギリシア神話であり、ギリシア発の産物ではない。
 これらの地中海周辺の文明の集合体であると考えてほしい。

2.2、天文学と占星術

 天文学は、このようにオリエント文明とギリシア・ローマ文明の融合したヘレニズム文化によって、ほぼ完成されたといえる。ギリシアの哲学者たちは、このメソポタミア地方から伝えられた天文学を吟味し、ひとつの学問として方向付けた。それは、アリストテレスにおける天動説(地球を中心とし、太陽を含む全ての星が地球の周りを周っているとする考え)である。これは、キリスト教の聖書の内容とも非常に調和的であり、僧侶の保護するこの説を誰も批判する必要がないからである。また、アレクサンダーの大遠征をへて、ローマ帝国が出来あがると、肥大化しすぎた天文学はもう必要なく、どちらかというとおしゃれなローマ人は迷信臭い占星術を好んだ。実際、この時期ですでに、現代の大学教養レベルの天文学の理論にまで発展していたし、生活に必要なのは、些細な天文学的予測よりも、生活に密着した世の中の予言なのである。これ以後、天文学(科学)の暗黒時代が訪れる。
 時代が変わって、16世紀になると、コペルニクスの唱える地動説(地球も太陽の周りを周っているとする説)が主流になり、ガリレイ、ニュートンなどにより、次々と支持された。これにより、天動説を基底とする占星術は息の根を止められたかに見えたが、当時の天文学者も多くは、この占星術の教養があり、ひとつの遊びとして認識していたので、理屈抜きで、これらを保護した。こうして、占星術は現在の雑誌や早朝のテレビのように、現代に残っているのである。ついでに星矢における黄道12星座を中心とする設定、また、本ページで扱っているセイントメーカーも、占星術における12宮を基本としている。本ページでは、天文学的アプローチをその基底としているが、あくまでも、天動説の使われていたころの天文学を基本としているので、そこらへんお間違えのないように…。
 

解説2ではオリンポスの神々について考察してみる。

解説2

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