聖闘士 星矢

〜Last Chapter The Olympus〜


14話「大熊座VS天猛星・ラダマンティス!!の巻


 

「俺は大熊座(ウーサマヨル)の檄。この金牛宮を守るからには、虫1匹通すわけにはいかん。」
 檄がそういうと、冥界の3巨頭は顔にうっすらと笑みを浮かべる。
「はたして、貴様にこの金牛宮を守ったアルデバランや星矢たちと同じような働きが出来るといえるのか?」
 ミーノスにそういわれ、檄は一瞬たじろぐ。しかし、ここで負けているわけにはいかない。
「分かった。お前たちに俺の最強の技をお見舞いしてくれるわ!!」
 檄がすばやく両の手を広げるが、3巨頭はまるで恐れもせずに、逆にその場を立ち去ろうとした。

「食らえ!ハンギングベアー。」

 檄が繰り出した渾身の技であったが、残念ながら先頭に立つラダマンティス一人にすらその技はかからなかった。
「笑止な!その技でわれらを倒すという気か?」
 ラダマンティスは涼しげな顔で言った。
「何!?」
 檄がその言葉に驚きを隠せなかった。
「貴様の技は聖闘士の技なのか?」
 ラダマンティスはなおも続ける。
「俺から言わしてもらえば、貴様の技は単なるプロレス技に過ぎん。」
 ラダマンティスは後ろにいた2人を促すと、金牛宮を通過しようとした。
「そういうわけだ。残念だが、貴様にわれらと戦う力はない。そうそうにこの宮をたちさることだな。黙ってうなずくとラダマンティスの後ろに立つミーノスとアイアコスもその場を立ち去っていった。
「ハーデス様と互角の戦いを見せた聖闘士も星矢たちがいなければこの程度のものか?」
「いや、それは星矢たちが格段の力を持っていたからに過ぎぬ。実際の聖闘士などこの程度のものさ。」
 などといいながら、金牛宮を通り抜けようとした3人だが、
「!?」
 ラダマンティスが、急に立ち止まる。
「どうしたラダマンティス。」
「いや、ちょっと気になることがある。すまんが先にいっていてくれ。」
 そうラダマンティスがいうと、とくに気にかけた様子もなく、
「分かった。さきにいかしてもらうことにしよう。まあ、聖域の陥落は時間の問題だからな。」
そういって、アイアコスとミーノスはその場を立ち去り、さらに上の双児宮をめざした。
 しかし、状況はそうではなかったのだ。
「うっ!!ばかな!」
 ラダマンティスは先ほどから不思議な痛みのような振動のようなものを首筋に感じていた。それはただの肩こりか何かからくるような突発性のものかと思えば、そうではなかった。しだいにその痛みは体の中心部に広がり、胸がつぶれるほどのものへと変わった。
「ぐはっ!!」
 ラダマンティスはついにはそこに立ちひざをついてしまう。
「まさか、あの技がこれほどの力があろうとは。」
 はぁはぁ・・・と息を切らしていると、その異変に気づいた檄がラダマンティスの前に立った。
「どうだ!この俺様の技を食らってみて!」
 そういわれるとラダマンティスは息を取り戻して檄に向かって言った。
「どうやら、おれはお前のことを見くびりすぎていたようだな。」
 檄はラダマンティスが自分自身に対して本気になったことを知ると、顔にうっすらと汗を浮かべながら、再びラダマンティスに対して戦闘の意思を見せた。
「俺の技は決してプロレスのような首しめわざとは違う。その圧力はもはや原子までをもすりつぶす最強の圧力だ!」
「・・・。」
 檄はさらに続けた。
「そして一度破壊された原子は、その衝撃を利用して次々へと他の原子を砕きうちには体全体をこなごなにしてしまうだろう。」
 その聖闘士の技に圧倒されたラダマンティスはその場からすっと立ち上がると、垂れた首をあげて、大きく息を吸い、全身をまっすぐに立ち上げた。
「ふん!!」
 ラダマンティスの首からゴリゴリという奇怪な音がすると、もはや崩れかかった首がさも何事もなかったのかのような正常な状態に戻ってしまった。
「檄とやら。貴様の聖闘士の技の神髄。しかと見せてもらった。一度この技を受けてしまった以上これから先、長くは持たぬかも知れぬ。悪いが、ここは即刻に方をつけさせてもらうぞ!」
 檄は感じた。ラダマンティスの小宇宙がかつてに比べ明らかに大きくなったのを。
「それでは本気で生かせてもらおう!!」
 二人は互いに向かい合うと、自らの小宇宙を高め、技を繰り出さんと相手の様子をうかがった。
・・・ ・・・
「グレイテストコーション!!」

「ハンギングベアー!!」

 技はほぼ同時に繰り出されたはずであった。しかし、一瞬はやくラダマンティスの技が檄に決まった。
「ぐはぁぁぁ〜!!!!!!」
ズシャァァァァ・・・・・・
 檄はラダマンティスの技を食らって大きく金牛宮の円柱にたたきつけられ、なおも数本の柱を貫通して、地面につっぷした。
「グレイテストコーションを食らって、まともに立っておれたものなど今までいない。まだ意識がのこっているだけでも十分な力を持っているといえるな。」
 
 そういったラダマンティスだが、再びフォームを整えると次の技を繰り出す準備に取り掛かっていた。
 大きくふりかぶると、
「食らえ!!グレイテストコーッ!!!」
 一瞬目の前に赤く光る怪しげな悪魔の形相や、この世のものとは思えぬ数々の怪物たちが見えたような気がしたがそれもすぐに檄の方へと消えていった。
「!」
 技は利かない。それどころか、自らの首の痛みがさらに増していることに気がつく。
「ラダマンティス!聖闘士に同じ技は2度通用せんことを忘れたのか!!」
 檄は実は2度目のグレイテストコーションを繰り出す際、技を見切りラダマンティスの後方から首にハンギングベアーをかけていたのだ。
「馬鹿め!!」
 ラダマンティスは首に力を入れ、小宇宙をも燃焼させる。ラダマンティスの体が強固になり、いかなハンギングベアーといえどもはじきかえされんほどの反発であった。
「ぐをををーーー・・・!!!」
 しゃにむにハンギングベアーをかけつづける檄。しかし、ラダマンティスと檄の小宇宙が増すとともに、互いの体は極限に達していく。
「檄。貴様、その弱い青銅聖衣のまま、小宇宙を燃焼させつづければ、自らの体をこなごなにしてしまうぞ!!」
 ラダマンティスがそう答えるが、檄はうめき声を上げたまま、小宇宙を、そしてハンギングベアーの圧力を上げつづけた。
「ふざけるなぁ!!

アンフィニック・ブリーズ!!     」

ラダマンティスは自らの持つ力を利用して、今までに見せたことのない技を繰り出した。
「ぐわぁぁっぁ!!!!!」
 ズガシャアアッア・・・
 金牛宮の中央にそびえていた大きなエンタシスはこなごなに砕け、瓦礫の山を作る。檄はその中に埋もれてしまったようだった。
「これ以上の技を食らうことなく倒したが、始めの一撃といい、グレイテストコーションを2回も発動させるとは。。。聖闘士はまさに12神の闘士の中でも最強を誇るかもしれん。」
 ラダマンティスはそうつぶやくと、瓦礫の中から、檄の聖衣の一部を見つけると、この戦いの証としてそっと持っておくことにした。
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・
 中央のエンタシスを撃破したことによって金牛宮が大きく傾き、崩壊をはじめようとしていた。
ズ・ズ・ズ・ズ・ン・ン・・・
「まずい!!」
 急いで宮を抜けようとするが、間に合わない。金牛宮は屋根から崩れ落ちそうになった。
「無念!!」
 ラダマンティスがそういい、目を閉じ、下に横になると。
 目の前の瓦礫があるところで小さな柱のようになると、そこが黄金色に輝き始めた。
「!?」
 金色の小さな柱と思っていたものは柱ではなかった。
 それは人間であった。
「檄!!貴様、その姿は一体!!!」
 檄の身には金色の金牛宮の黄金聖衣が身についていた。
「タウラスの聖衣はやはり金牛宮を守ろうとするものに大いなる力を与えてくれるようだな!」
 檄は続ける。
「貴様がアンフィニック・ブリーズを放ったとき、俺はこの中央の柱の力を利用してその衝撃を吸収しようとした。しかし、逆で皮肉にもこの円柱とともに貴様の技を完膚なきまでに食らってしまったのだ。」
「・・・。」
 檄は、聖衣を軽く両手でなでると
「わずかに遅く繰り出された俺のハンギングベアーはこのタウラスの大いなる円柱を支え、そしてそれとともにタウラスの象徴である聖衣がこのオレとともにこの円柱を守ったのだ。」
 檄は、そういい終わると、瓦礫を集めて大きく力をこめるとこなごなになったはずの円柱を元通りの柱へと変えてしまった。
「ふん!!」
 そのお強大な小宇宙とタウラスの聖衣の力に圧倒されたラダマンティスは驚きのあまりその場に立ち尽くした。
「さあ、最後だ!!決着をつけよう!!」
 檄は再び、構えた。
ラダマンティスも同様に構えた。
「互いの技がどこまでのものか確かめあうのも悪くはなかろう。」
 相手を射殺すかのような強い視線。そして技は再び繰り出された。
「ハンギングベアー!!」
「グレイテストコーション!!」


 


檄はタウラスになれるのか!?

第15話
タウラスの心
!!の巻
キミは小宇宙を感じたことがあるか!?
感想どしどしお待ちしています!


トップへ戻る