聖闘士 星矢

〜Last Chapter The Olympus〜


16話「サガとカノン!!の巻


 

−−−−−オリンポス山
ドンドンドンドン…。
 星矢たちの泊まる部屋をたたく音がする。
「おい!聞こえないのか?」
 どうやら、先ほどから星矢たちの世話をしているダイモスという神のようだ。
「なんだ!」
 入り口扉付近で小さな木の丸椅子に座り、仮眠をとっていた紫龍は、その異変に気づいて、扉の向こうで立つダイモスという神に向かって答えた。
「食事だ!!」
 ダイモスがそういうと紫龍はなにも言わずに扉を開いた。そして、後ろにいる給仕が運搬用の給仕車をひいて持ってきた。給仕といってもどうやらオリンポスの雑兵のひとりのように見える。
「おまえたちのために今日は神々の食卓アンブロシアの残りを持ってきた。」
 そういってダイモスは給仕に軽く首で指図すると、給仕は紫龍たちに食事を配り始めた。
1食分多いのですが…」
 給仕が食事を配ると1食分多いのでそうダイモスに答えた。
「おかしい。星矢がいない!!」
 瞬は異変に気づいて、あたりを見回した。
「とりあえず、残った1食分の食事もおいておいてくれ。」
 いままで何も答えなかった氷河が給仕にそういった。
「どこかに散歩にでもいっているのだろう。頼む。」
 そう続けると氷河はまた黙った。
「まあ、その方がいいだろう。通常の人間にアンブロシアなど食べさせるわけにはいかんのだが、なんといってもここは神の国オリンポス。通常の人間は2日としないで死んでしまう。その星矢という奴も含めてしっかり食事しておくことだな。」
 そういうとダイモスは給仕に合図してその場から立ち去った。
 残った紫龍、氷河、瞬は黙々と配られた食事「アンブロシア」を食べ始めた。
「うむ。よほど疲れていたのか、それともこのアンブロシアが格別うまいのか。体の重みがすべて抜けていく感じだな。」
 紫龍が口に運びそういう。
「ああ、そうだな。」
 氷河がそう受け答えたとき、突然瞬の方から皿をひっくり返すような音がした。
ガシャーン!!
「ああ!!!」
「どうした瞬!」
 紫龍が答える。なぜか突然瞬が皿をひっくり返してしまった。
「おかしいんだ。さっきからどうも。体に力が入らないくて…」
 瞬はそういうと慌ててこぼした皿の中身をひっくり返した元の皿に戻した。
「おかしいな。」
 氷河がそういう。
「たしかにパンがこんなに重いはずがない。まるで錘でもうまっているかのようだ。」
 そういってパンを持って見せた。上まであがらない。。。
「まさか…」
 紫龍は何かに気づいたようなそぶりをし、扉の方に目を向けた。
ドガガガガッガッガ・・・・・・・・
「うわぁ〜!!」
 扉が大きく開くと突然星矢が部屋の中に飛び込んできた。
「困った人間だな。」
「戦いは明日からのはずだ。」
「そうはいっても、これじゃあ12神の誰一人にも勝てやしないな。」
「ハハハッハハ・・・」
 オリンポスの雑兵はそういうと扉を閉めてどこかへ消え去った。
「ぐわ!!」
 痛みに耐えて星矢がそうあえぐ。
「星矢!貴様もしや!!」
 紫龍の予感は完璧に的中したみたいだった。それを見てほかの2人も事態に気がつく。
「どうやら、ここも冥界の入り口と同じように通常の人間の力では実力の十分を発揮できないようだな。」
 紫龍がさっきから感づいていた異変を口にする。
「そうだね。星矢ほどの聖闘士が雑兵にやられるはずがないもの。」
「…。」
「事態は深刻だな。」
 紫龍は答える。
「とりあえずこのアンブロシアを食べて英気を養おう。」

―――――双児宮
2
人の男がついに双児宮の前にたどりついた。
「双児宮か。」
 アイアコスがそうつぶやく。
「たしか、以前はあのカノンの兄、サガが守護していた宮だな。」
ミーノスがそう答えるとアイアコスは無言のうちに双児宮に入り始めた。
「大丈夫だ。双児宮の聖闘士はいまはどこにもいない。単なる無人の宮だ。」
「それもそうだ。」
 2人は力強い足取りで双児宮へ向かっていった。


双児宮に入って10分ほど、2人は異変に気づいた。
「馬鹿などんなに大きな神殿といえどもこうもまっすぐ歩けばいい加減端はみえてくるはず。いつまでたっても出口は見えない。」
 ミーノスが答える。
「まさか未だこの双児宮にサガとカノンという2大聖闘士の魂が宿っているというのか!?」
 アイアコスは驚く。
「ばかな。黄金聖闘士の魂はエリス殿の力で冥界に封印されて出られないはず。こんなところで足止めを食らっているわけにはいかないのだ。」
 ミーノスはそういうと、再び歩き始めた。
「双児宮の迷宮というが単に奥行きが大きいだけかもしれん。もう少し歩くぞ。」
 そういうと2人は歩き始めた。
――――そして再び30分が経過する。
「やはりおかしい。こんなところで小1時間も時間をつぶしてしまったではないか?」
「どうにかして、脱出せねばならん。」
 しかし相変わらず先へ続くのは長い神殿の回廊のみ。
「どうにかしてこの双児宮の迷宮から抜け出さねばならん。」
 ミーノスがつぶやく。
「何!まっすぐ走ってだめなら。上にぬければいい。」
 アイアコスはそういって手を胸の前でクロスすると、小宇宙を高め、

「ガルーダ!! フラップ!!!!」

 渾身の技を天に向けて放った。すると双児宮の天井は見事に風穴を開けた。視界が一気に開けた。なんとそこは双児宮も入り口も入り口に近い場所であった。
どうやらうまくいったようだな。」
「そのようだ。さっさとこの宮をぬけてしまおう。」
アイアコスはミーノスを促しながら出口に向かって走る。すると、
コツッ!!
 何かにぶつかった。聖衣だった。

 

―――――金牛宮出口付近
貴鬼となぞの大男は金牛宮出口付近まで上り詰めていた。貴鬼は双児宮での大きな爆発と先ほどからの不可思議な小宇宙の変化の異変に気を散らせていた。
「貴鬼殿。何か異変に感づきましたか?」
「ああ、兄ちゃんも気づいていたかい。どうやらさきほどから前回の聖戦の双子座の聖闘士サガかカノンのような小宇宙を感じているんだ。」
 貴鬼はそう答える。
「いや、そのような聖闘士の方がおられましたか。まさしく神のような崇高な小宇宙ですな。実は私の周りに、これと全く同じような小宇宙を発するお方がおられるのです。これはもしかするとその方のものかと思い、しばし警戒をしていたのです。」
 なぞの大男は貴鬼にそう告げると、貴鬼も答えた。
「サガとカノンは神にも勝る強大な小宇宙の持ち主。兄弟だけに強大…なんつって。」
 なぞの大男はその寒いギャグを聞き流すと、
「そうですか。たしかに。その私の知っている方は、人間ではありません。」
 貴鬼はその言葉に反応し思わず聞き返した。
「誰なのです。その方は?」
「それは、あのお方…」

 

―――――双児宮
「なんだこの聖衣は?」
「なんだもくそもない。これはカノンの纏っていた双子座の聖衣ではないか?」
そういうとミーノスは顔を抑えながら言った。
「そうじゃない。なんでここにあるのかということだ。」
「たしかにそういわれればそうだな。」
 すると、突然
ガシャ!!
 音がすると双子座の聖衣が分解し、人型に変わり始めた。そして・・・
「ばかな!!貴様!!」
 アイアコスはその姿を見て大声をあげる。冷静なミーノスもただではいられなかった。
「貴様カノン!!」
「…。」
 双子座の聖衣をまとったカノン、いやもしかするとサガなのかもしれない人物はやはり何も答えない。しかし、2人はこんなところで怖気づいているわけにはいかないのだ。
「いくぞ!!」
 そういうと、ミーノスとアイアコスは同時に技を繰り出した。なにしろ前回冥界の3巨頭があれだけ苦労した相手だ。油断はできない。


「ギャラクティカイリュージョン!!」


「コズミックマリオネーション!!」


二人の技は見事に成功したようだ。サガかカノンだかの肉体は完全に打ち滅び、再び双子座の聖衣の形に戻ったようだった。
「ばかな!何があったかしらんが、こんなところでカノンが復活していたとはな。」
 「何かの手違いだろう。先を急ごう。」
 2人が先へ行こうとする。しかし双子座の聖衣の方からさきほどからの強大な小宇宙がいっこうにきえない。
「なんだこの聖衣は?」
 再び小宇宙の異変に気づいたミーノスは双子座の聖衣をみる。するとそれは双子座の聖衣ではなくなっていた。
「だれだこれは?」
 アイアコスは答える。
「この聖衣の顔どこかで見たことがないか?」
双子座の聖衣ではなくなったその人型の聖衣を見てミーノスは答える。
「ああ、一度だけな。あれはハーデスさまの式典の日だ。」
「そう、この聖衣の面影。ハーデス様の冥衣にそっくりだ。」
「だが色がおかしい。こう白く透明にクリスタルのように透き通っているものだったか?」
「おかしいな。」
 そう首をかしげると、聖衣が突然しゃべり始めた。
「おい!そこの男!!」
「は、、はい。」
 あまりの威圧感に思わずミーノスといえども素直に返事をしてしまった。
「余の神衣を持ってオリンポスの山頂までこい。よもやこんなところに余の神衣があろうとは?とにかく貴様に任せたぞ。」
 聖衣はそういうと静かに眠った。
「ミーノス!聞こえるか!?」
 少しの間あまりの威圧感に圧倒されていたが、アイアコスの言葉に答えた。
「これはもしかすると、、、」
「ああ、これはゼウスの神衣だ。」



  「お!!こんなところに敵さん発見!!」
貴鬼がなぞの大男とともに双児宮までたどり着いたのだ。
「何かと思えば、下からのこのこと素通りされた白羊宮の聖闘士がきたではないか!」
馬鹿にしてアイアコスがいう。
「なんだと次の相手はフォボスを倒したこのオイラがやってやる。」
「のぞむところだ!!」
 アイアコスが言う。しかし、貴鬼のとなりにいた男は先ほどのゼウスの神衣らしきものを見ると、
「こんなところにやはり埋もれていたか?」
そういって、貴鬼を制止すると、言葉を続けた。
「ここは私に任せてください。われわれはあの双子座の聖衣から変化した神衣を奪われてはならぬのです。」
ミーノスはそういわれて男の言葉の意味を理解する。そして軽くほくそえむ。
「なるほど、そういうことなら戦わねばならぬな。」 
「俺は天貴星グリフォンのミーノス」
「俺は天雄星ガルーダのアイアコス、お前は?」
 そう名乗られて男はおもむろに自分の名を名乗ることにした。

「私は

 

   南風の風闘士(ウィンズ) サイクロンのオリッサ!!」

そういうと3人は構えた。

 


冥界3巨頭VS風闘士オリッサの死闘!
双児宮になぜゼウスの神衣が!?

第17話
ミーノスVS南風サイクロンのオリッサ!!の巻
キミは小宇宙を感じたことがあるか!?
感想どしどしお待ちしています!


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