聖闘士 星矢

〜Last Chapter The Olympus〜


19話「船尾座テレマコスVS天雄星ガルーダのアイアコス!!の巻


「ギャラクティカイリュージョン!!」


 アイアコスのその最大の奥義を受け、テレマコスは巨蟹宮で大きく後ろに飛ばされた。
「グアァァッァア…〜!!」
 ばたりと地面に打ち付けられると、また、他の3人のアルゴルの聖闘士と同じように気を失ったようにそこに沈んでいた。
「フッ…これでいい。われわれ3巨頭がこうも容易く聖闘士どもに負けているわけにはいかぬのだ。」
 アイアコスはそういい、その場を立ち去ろうとした。


 そんなことを言っていると、予想通りというかさすがにしぶとい聖闘士がいた。
「フフフフ。なるほどな。どういう状況なのかは大体つかめたぞ!!」
 そういって、テレマコスは立ち上がり、

 そういうと、今度はテレマコスがその大いなる技を繰り出そうとした。両手をまっすぐ前に突き出し、クロスさせると、そのまま、手を後ろから回すようにし、今度は手のひらから気を発するかのように大きく開き、技を繰り出した。

「ディーペストクールブロウ!!」


 すると、地を這うようなものすごい冷気が流れ込んできたかと思うと、たちまちのうちに足元から雪が積もり始め、体全体を凍えさせた。
「ハハハハハ…。」
 アイアコスは笑い出す。
「何がおかしい!!」
 アイアコスはまるで、新雪にはまった足を抜き出すように、軽々とその氷から足を抜くと、体中の霜を軽く払って言った。
「その程度の冷気でこの私が倒せると思うのか!?」
 アイアコスは軽々と言ってのける。しだいにテレマコスの方に近づきながら、アイアコスはさらに続ける。
「貴様の技など、この大いなる宇宙の真空間に比べれば微塵も恐怖を感じん。」
 そういうと、再びアイアコスは、その大いなる宇宙の様相をテレマコスに向かって繰り出した。

 

「ギャラクティカイリュージョン!!」

 

さきほどとは違う宇宙の様相が浮かび上がる。それはまさに絶対零度にも勝るとも劣らぬ冷たい世界であった。別に風もない。氷もない。何もただくらい。星すら見えぬ。先の見えぬその空間は、地上の全ての寒冷地にもまさる究極の冷気であった。体中が寒さによって凍え、しだいに寒さによって体中が低温火傷を起こし、腫れ上がってくる。目は乾き、もはや呆然とするしかない。
「見よ。貴様らの住む大地とこの最果ての冥王星をも越えた宇宙空間の悲しみ、そして深遠さを。」
 そして、心はしだいに打ちひしがれ、五感もしだいに失われていく。
「さあ、止めだ!!

再び食らえ!!

ギャラクティカイリュージョン!!」


 アイアコスはとどめの一撃を見舞った。しかし、
「そうはいくか!!」
 凍えるテレマコスの前に先ほどまで倒れていたオデッセウスが立ちはだかった。
「このまま、やられているわけにはいかん!!」
 そうオデッセウスは言うと、オデッセウスは凍りつき今にも意識を失いそうなテレマコスに対し、その凍結を解きほぐすかのように、その正反対のオデッセウスの技、クリムゾンズブリーズを軽くかけた。
「フフフフフ…。そんなことはまるで意味がないのだよ。」
 そう、アイアコスは言うと、再びオデッセウスに向かい技を繰り出そうとした。
「なぜなら、私の技は君達を直接凍気で苦しめているわけではないからね。食らえ!!」
 その構えを見て、オデッセウスはアイアコスの技を思い出す。そして、

 

「ギャラクティカイリュージョン!!」

 

そう、アイアコスが技を放った。
「負けていられるか!!

 

 クリムゾンズブリーズ!!」

 

 オデッセウスは技を放った。すると先ほどまで覆っていたアイアコスによる宇宙の真空はまるでなくなり、大いなる炎風がアイアコスを襲った。
「バ…バカな!!」
 アイアコスは自分の技が破られたことに驚きを隠せない。見る見るうちにアイアコスの体は焼け焦げ、ただの炭かすになってしまった。
「ついに、その身を炎によって滅ぼしてしまったか。遺品ひとつなくしとめてしまったことは不憫だが。。。」
 オデッセウスは、アイアコスのいた場所に向かいながらあsらに続けた。
「まあ、どの道殺さねばならぬ敵だ。仕方あるまい。」
 オデッセウスは、アイアコスの焼け跡に軽く一礼すると、テレマコスの技を解こうと振り返った。
「いない!!」
 テレマコスがいない。先ほどいた場所にいないのだ。近づいてみてみる。いない。さらに近づくとテレマコスのいたところにはアイアコスの時と同じように焼け跡が残っていた。
「ばかな!まさか先ほどのクリムゾンズブリーズとともにテレマコスをも葬ってしまったというのか!?」
 オデッセウスがそうあせっていると、後ろから声がした。
「フハハハ…。ばかめ!お前が倒したのはアイアコスではない。お前が倒したと思ったアイアコスはテレマコスだったのだよ!!」
 そう、振り向くと後ろにはアイアコスの声を発するテレマコスがいる。
「テレマコス!!ばかな!!なぜそのような声で!!」
 テレマコスの体をしたアイアコスの声を持つ男はさらにこういった。
「俺はアイアコスだ!!さあ、殺せるものなら殺してみろ!!」
 テレマコスの体を持つアイアコスはそういった。オデッセウスはますます混乱したが、何を血迷ったのかオデッセウスは焼けてしまった燃えかすを集めて、元通りにしようと試みる。
「笑止!!燃えてもはや跡形もなくなった人間を復活させようとは!?しかもその男の肉体はアイアコスなのだ!!もはや、その元の肉体は俺には必要ない!!」
 テレマコスの体を持つアイアコスはそう言い放った。
「フフフ…どうかな?」
 と、アイアコスが笑っていると、燃えてなくなったはずの場所から一人の男が現れる。
「おかしなこともあるものだね。この俺が2人とは!」
 なんとそこにはテレマコスが立っていた。
「バ、バカな!!なぜ肉体をのっとったはずなのにその焼けかすがテレマコスになるのだ!!」
 アイアコスは驚く。それを見てオデッセウスは笑いながら答えた。
「これぞ不死鳥の力!!」
 アイアコスはその言葉を聞いて驚いた。不死鳥(フェニクス)!!
「ま、まさか…」
 アイアコスの額から汗が流れる。
「そう、われわれの師はあの不死鳥、フェニックスの一輝!!」
「一輝!!」
 あのときの恐怖がよぎる。テレマコスの体をもつアイアコスが一瞬たじろぐ。その姿を見て、オデッセウスがすかさず、技を繰り出す。

 

「クリムゾンズブリーズ!!」

 

と、その大いなる炎風で偽のものか本当の肉体なのか分からぬテレマコスに技を放った。そして見る見るうちに焼けていった。しかし、アイアコスはいつまで焼けても死なない。
「う…う、苦しい。。。助けてくれ。この熱さでなぜ体が朽ち果てぬ。」
 アイアコスは全身を炎に包まれながらもあたりをさ迷い歩き、死に場所を見つけられぬ亡者のようであった。
 と、さ迷い歩いていると、突如全身の炎が消える。
 先ほど、気を失いかけたテレマコスは相変わらず凍死寸前のような意識の抜け方だ。アイアコスも冥衣に焦げ跡ひとつなく、何事もなかったかのようである。しかし、息は異様に荒く、とてもまともに経っていられぬほどの疲れが全身を覆っている。
「はぁはぁ…。」
 アイアコスはその場で呆然としていると、オデッセウスがいった。
「どうした!?アイアコス!何があったかまるでわかっていないようだな?」
 アイアコスはもはや答える気力もなかった。が、オデッセウスの方にだけは顔をかろうじて向けることができた。そしてほぼ予想していたとおりの答えがオデッセウスから返ってきた。
「鳳凰幻魔拳!!」
 オデッセウスはさらに続けた。
「先ほどの幻惑のなかで俺がいったように俺たちの師は不死鳥座の一輝だ。」
 もはや立っているのがやっとのアイアコスに向かいさらに続けた。
「お前の放ったギャラクティカイリュージョンも幻惑であるなら、貴様が技を放つわずかに早く俺がお前に鳳凰幻魔拳を放っていたのだ!!」
 一瞬、テレマコスの方を見やりながらさらに続ける。
「たしかにテレマコスの肉体をのっとるシナリオまではお前のギャラクティカイリュージョンによる幻惑を利用させてもらったが、その先はお前の予期せぬ幻惑が映ったはず。それはこの鳳凰幻魔拳によるものさ!」
 オデッセウスは再び何かを繰り出そうとするかのように身構えると、最後に言った。
「しかし、所詮お前の技はすでにこの私の鳳凰幻魔拳によって操られていたのだ!!」
 オデッセウスは、軽く右手を握り締めると、アイアコスに向かって最後の技を放った。
「お前を倒すにもっともふさわしい技を見舞ってやろう!!食らえ!!

 

鳳  翼  天  翔  !  !」

 

 アイアコスは、オデッセウスの鳳翼天翔にやられ、見事その場に沈んでいった。
「さすが、一輝の一番弟子だけあるな!!」
 そういって、遅ればせながら牡羊座の貴鬼が巨蟹宮までやってきた。
「これで冥界3巨頭はすべて倒したことになる。そうそうに頂上のアテナ神殿へと赴き、目的の尺丈を手にしないと!!」
 貴鬼はそういうと、巨蟹宮を後にしようとする。
「分かった。」
 そういってオデッセウスは他のテレマコス、テレゴノス、エウリュロコスを残し、先へ進もうとした。
「おや?その3人は放っておいていいのかい?」
貴鬼がオデッセウスに尋ねると、オデッセウスは言った。
「なぁに、じきに気づくさ!それに3巨頭を倒したといえども、まだ冥闘士は何人もいる。そいつらをこいつらでやっつけてもらわないとな!!」
 そういって、貴鬼とオデッセウスは獅子宮から先へ進んでいった。


 


エリーとミーノスの関係は?
蘇ったミーノスらと戦う聖闘士は!?

第20話
嗚呼…愛しのエリー!!の巻
キミは小宇宙を感じたことがあるか!?
感想どしどしお待ちしています!


トップへ戻る