聖闘士 星矢

〜Last Chapter The Olympus〜


21話「激突!冥闘士VS風闘士!!の巻


「で、私に一体何のようかね。」
 巨蟹宮の中は冥闘士たちの巣窟であった。一番後ろに3巨頭のミーノス。戦闘にはアイアコス。その間にも天星クラスの優れた冥闘士たちがいた。
 風闘士たちはその光景を見ると、唖然とした。風闘士の側は、現在3人。先に行ってしまっているオリッサを含めても4人しかいない。
「なぁに、先ほどちょっと貴様を探している人物と出会ってな。」
 ノエルはミーノスにそういった。
「ミーノス様に『貴様』とは!ただで済むと思うのか?」
 冥闘士の一人が拳を振り上げた。
 しかし、それはミーノス本人の手によってふさがれた。
「待て!とりあえず話を聞こうじゃないか。」
 そういって、荒れる冥闘士を制すと再びノエルの方へと向きかえった。
「で、私に会いたい人物とは?」
 それを聞いて、ノエルの後ろにいた2人も一瞬気合を入れ、隙をなくしたように思えたが、それに反するかのように、ミーノスは力を抜いてノエルの言葉の続きを待った。
「さっき、双児宮の方で金髪の少女に出会ったよ。兄さんを助けてくれと言っていた。」
 単刀直入にミーノスにそう答えた。
 しかし、ミーノスは別段驚きもせずに答えた。
「なんだ。先ほど下にいたエリーのことか?ならば、心配ない。この私がエリーの忘れ物をとりに行っている途中だ。下で待たしておけばよい。」
 そう、あっさりというとミーノスは立ち去ろうとした。
「お前たち行くぞ!!」
 しかし、一度冥闘士とあってしまった以上、風闘士の3人からすればここである程度雌雄を決さずに置けるわけはない。ノエルは続けてミーノスに言った。
「お前の妹のエリーだかなんだかは下の双児宮で高熱を出して倒れているぞ!!」
「!」
 ミーノスはそれを聞くと、
「ばかな!!なんで置き去りにした!!」
 血相を変えて下に走り出そうとした。
「お待ちください。ミーノス様!ここはひとつ。」
 バレンタインはミーノスの豹変ぶりに思わずミーノスを羽交い絞めにして押さえつけようとした。しかし3巨頭ともあろうものをバレンタインに止められるはずもなく、すぐに解かれてしまった。
「ぐわ〜!」
「何をしている!行かせてやればよいではないか!自分の身内の異変だ。何をためらうことがある。」
 一番先頭にいたアイアコスがこの異変に気づいて、そう口出しをしてきた。
 バレンタインはしぶしぶミーノスを行かせることにした。
「そのエリーとかいう女性は下の双児急の寝室で仮眠を取っている。すぐに行って上げることだな。」
 ノエルのその言葉を聞くと、ミーノスは下の双児宮へと走っていってしまった。
「バカな。。。」
 バレンタインはそう漏らした。
「私は行く。すぐにこの神殿の奥まで行かねばならないんだったな!」
 こちらもどうかしてしまっているアイアコスだった。しかし、残念ながら、いかに異変が起ころうともこの3巨頭を従えられるほどの冥闘士がいないのは事実だったのだ。
「分かりました。それであれば急ぎ上の宮に向かいましょう。ただ、ほんの少しだけ時間を頂きたいのです。」
 そういうと、アイアコスは答えた。
「分かった。すぐ終わらせて追いついてきてくれ。」
 そういうとアイアコスは上の宮へと進んでいった。

「ふう。どいつもこいつも。」
 異変に気づいたのか、冥闘士の中でミーノスとアイアコスについていった冥闘士はほとんどいなかった。実際アイアコス直属の冥闘士が数人アイアコスについていったが、ほとんどが事実上この団体を率いているといえるバレンタインとシルフィードの元に残った。
「フフフフフ。」
 ノエルは笑った。実に自分の思い描いたとおりの展開に落ち着いてくれたからだ。
「貴様ら!!」
 バレンタインは風闘士たちに恨むような目つきでにらんだ。
「いつから気づいていた。我らが3巨頭の異変に。」
 シルフィードが言った。それをあざ笑うかのようにチョンヤンが答える。
「あんな様。初対面でもだれだろうわかるでやんす。私事すら犠牲にしなければならぬ闘士であれば誰だろうわかることでやんすよ。」
 そういわれ、腹を立てた冥闘士たちであったが、唯一本来の3巨頭譲りの冷静さを持ち合わせていたバレンタインが答えた。
「さすが、機転の神ヘルメスの使者だけある。しかし、ここで貴様らをしとめておけば別に何の問題もあるまい。」
 そうさらりと言ってのける。
「フフフフ。そのとおりだな。ならばここで決着を付けるまで。」
 そういうと、冥闘士と風闘士は戦闘態勢に入った。

「まずはそちらの方から名乗ってもらおうか。」
 バレンタインはそういう。
「よかろう。こちらから吹っ掛けた闘いだ。」
そういうと、アロルドから名乗り始めた。
「東風ハリケーンのアロルド!」
「北風ブリザードのノエル!」
「西風ジェットストリームのチョンヤン!」
 そう、さらっと名乗りを上げる。
「貴様らがかの有名な4大風(オーロラリアン)であったか。」

 4大風とはギリシア神話における風の神である。風はさまざまな場所で起こる。谷風、山風。海風、陸風。季節風なんていうものもある。そんな局所的なものも含め、世界の風を過去の人は大きく4つに分類した。つまり彼らは世界の風の長なのである。それらは東風(エウロス)、西風(ゼピュロス)、北風(ボレアス)、南風(ノトス)と呼ばれる。これらの風の神はオウロラと呼ばれる暁の女神から誕生したといわれる。そのため彼らをオーロラリアンと呼んでいる。彼らは一般の風闘士(ウィンズ)や雑兵を管理する役目も持つ。つまりは、聖闘士であれば黄金聖闘士。海闘士であれば海将軍(ジェレラル)に。冥闘士であれば3巨頭に相当するのだ。つまりは彼らが数人いる時点で本来はミーノスやアイアコスと対等に戦うことができるのだ。

「まあ、そういってもらっても結構だ。」
 アロルドが答える。
「少しばかり人数が多かったんでね。万全を期すために彼らにはしばしこの場を離れてもらうことにするよ。」
 ノエルが続いた。
「で、おたくらは誰でやんすか?」
 チョンヤンが答えた。
 それに対して、冥闘士サイドだ。
 まず天哭星バレンタインがいる。そして、順に名乗っていった。
「天魔星アルラウネのクイーン!」
「天牢星ミノタウロスのゴードン!」
「天捷星バジリスクのシルフィード!」
「天哭星ハーピーのバレンタイン!」
「天醜星デッドリービートルのスタンド!」
「天罪星リュカオンのフレギアス!」
 そこにはなんと天のつく上位の冥闘士が6人もいたのだ。さらに、
「イワン、ファラオたちはどうした?」
 バレンタインがシルフィードに聞いた。
「事情で復活が遅れているようだが、時期にくるはずだ。」
 などといっている。
「なるほど人数が多くて覚えきれそうにないな。」
 アロルドがいう。
「いや、覚える必要もないさ。」
 ノエルがそう答える。
「そのとおり!」
 とチョンヤンが答えるかと思いきや、ゴードンが答えた。
「覚える必要もない。貴様らはこれより我ら冥闘士に倒され地獄へ行くことになるからな。」
「バカ!それなら俺たちの味方になる奴らじゃないか。仲良くしなきゃな!ガハハハ」
 などと、スタンドが冗談を言う。風闘士は完全になめられていた。
「フッ!まあいい。闘えばすぐに分かること。」
 そうノエルがいうと、風闘士は再び構える。それに対し、まずゴードンが冥闘士の先頭に出てくると、
「まずはこの俺からいかしてもらおう!」
「さぁ!来るでやんす!」
 そうチョンヤンがいう。するとゴードンは大きく振りかぶると技を繰り出した。

「グランドアクスクラッシャー!!」

 チョンヤンはミノタウロスのあまりに大きな斧を目前に完全に立ち尽くしてしまう。そして、
「ぎゃ〜!!」
 間一髪のところで、自らの体を横へ流していた。しかし、斧のあまりの強い圧力に避けたとはいえ体の一部に内出血が起きていた。
「あぶないところでやんす。あと少しのところで体を真っ二つにされるとこだったでやんす!」
 そういうと、今度はアロルドが出てきて、
「チョンヤン油断するな!貴様はアレを持っていることを忘れるな。」
「そうだったでやんす。」
 そういって、風闘士の側はチョンヤンとアロルドが前衛でノエルが後衛というスタイルをとっていた。そのスタイルを見て、危険を感じたバレンタインは、前に出ようとする。しかし、
「私が出よう。」
 そういって、クイーンが前に出た。さらに、
「私も出よう。」
 シルフィードが前に出た。
 3人VS2人という形になっていた。
「遠慮はいらん!!貴様らの技受けてたとう。」
 アロルドがいうが早いか、冥闘士3人は技を繰り出した。


「ブラッドフラウアシザーズ!!」
「グランドアクスクラッシャー!!」
「アナイアレーション・フラップ!!」

 3人の技が同時にチョンヤンとアロルドに襲い掛かる。それを早く見切るとチョンヤンは技を自分自身とアロルドにかけた。

「ソリトニック ブロウ!!」

すると、2人の体はするりと冥闘士3人の技をすり抜けた。そして、タイミングを見計らてアロルドが技を繰り出す。

「グレートハリケーン!!」
それによって、ゴードンのアクスが飛ばされる。正確には両の腕をへし折られたということになるわけだが。
「ば・・・ばかな!!」
 ミノタウロス自慢の斧は根元から折られてしまったのと同じだ。
 冥闘士は驚く。しかしそれで済まされない。続けてチョンヤンが技を繰り出した。
「ナチュケムサンドストーム!!」
 3人の周りをものすごい砂塵が沸く。
「身動きがとれん!!」
ものすごい量の砂はさすがのアルラウネにも効いた。体中を砂が覆い完全に機能しなくなってしまった。ソリトニック ブロウで2分した2人は、冥闘士の背後に回っていた。
気づくと6人は風闘士3人に取り囲まれる形になっていた。
「すでに使い物になる冥闘士は4人。まだ戦いを続けられるというのかい?」
 ノエルが6人に対しそう挑発する。完全に自信を喪失してしまった前衛に対し、
「まだまだだ。闘いははじまったばかり。。。」
 あくまでバレンタインは闘志を失っていなかった。


 


圧倒的な強さを誇る4大風!!
そのとき双児宮に一人の女性が現れる!?

第22話
春麗とエリー!!の巻
キミは小宇宙を感じたことがあるか!?
感想どしどしお待ちしています!


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