聖闘士 星矢

〜Last Chapter The Olympus〜


26話「神々の死闘!!アレスVSエリスの巻


―――――双児宮
「さて、ここを離れ、残るエリスの筐体を木っ端微塵にしてくれよう!!」
 アレスはそういうと、ジュリアとともに上の宮へとあがっていこうとした。そのとき、その進もうとする上の宮から一人の女がやってきた。
「フフフフ。どうやら、われわれがわざわざ赴くまでもなかったか。」
 アレスがそういうと、上の宮から、エリス本人がやってきた。
「おぉ!!これはこれは。いとしい兄上ではないか!」
 エリスが兄であるアレスと合間見えるたびに必ず語りかけるその言葉は2人が戦争をはじめるあいさつのようなものであった。そして同様にアレスもエリスに対して声をかけた。
「おぉ!いとしい我が妹よ!!」
 ジュリアはアレスがこれから起こる戦闘に控えて、手を差し出す。それを理解したようにアレスはさきほどはおったばかりのマントをジュリアに預けた。
「今度で何度目になろう?」
 エリスはそう聞かれると、
{もはやその闘いの数も天文学的数字。わざわざ数える必要もありはせぬ。}
「そうであったな!この世の争いというものは!」
 そういうと、しかけたのはアレスの方であった。

 

「グレイテスト アサルト!」

 

 すばやく剣を抜くとエリスに向かって振り下ろす。
 しかし、先ほどの覚醒前のエリーとは全く様子が違う。軽々とその剣をエリスの短剣で受け流すと、今度はその短剣をすばやくアレスに向かって斬る。

 

「グレイテスト リパー!!」

 

 アレスの体に大きな切り傷ができる。久しぶりの自分自身の血に思わず狂喜する。
「うぬぬぬ。久々の我がいとしい血か!」
 アレスはエリスに向かって大きく剣でさすと、さらに続けた。
「さすが!我が妹エリス!!この体に傷を付けるとは!!」
 自分自身の体から流れる血、それに狂喜するとはもはや常軌を逸している。かなりいかれた感覚だろう。だが、その感覚はエリスですら同じように持っているのだ。
「ハハハハハ!さぁ、再び戦わん!」
 そういうと、今度は短剣を裏に構えると強くアレスに向かって突いた。
それをかろうじて避ける。反対に今度はアレスが技を繰り出す。

 

「スペシャルミンチ!!」

 

 先ほどのミーノスのときと同じようにエリスはそれを華麗なまでに避け続ける。ミーノスと違うのはそこからであった。今度は、エリス自身が反撃に転じる。細かい切っ先の合間から、探検をちらつかせ、執拗に迫るアレスの剣を受け流し、時折アレスに向かって、その剣尖が体を捕らえた。
「フハハ!さすがだ!エリスよ。こうでなくては!」
 それは激しい死闘というには程遠く、まるで子供がじゃれあっているかのようでもあった。

「グレイテスト アサルト!!」

 

「グレイテスト リパー!!」

 

2人の戦いは果てしなく続く。しだいにそれは戦闘開始直後の軽快なものとは違って、どろどろとして苦しみを伴う闘いへと変わっていった。
「ふぅ…さすがのアレス!こうしてすでに何十日も戦ったかのような密度の濃い闘いをやすやすと。」
 エリスは激しい戦いに思わずそのような言葉をこぼす。しかし、地の底から湧き上がるようなアレスの血への執着心はエリスに差後の技を繰り出した。
「いい加減この勝負に蹴りをつけさせてもらうぞ!!」
アレスは剣を捨て大きく振りかぶると、その究極の技を繰り出した。

 

「アルティメットストライク!!」

 

 アレスがその技を繰り出すと、エリスも負けていなかった。

 

「ディーペストヘートレッド!!」

 

 エリスは技を繰りだすとそこから、赤々と輝く深遠なるオーラが漂い始めた。
「見ろ!!今宵はいつにもまして赤く輝くこのオーラ!この輝きがある限り、お前のその隕石は倍の力となってお前の元にも下るだろう。」
 エリスの放った技は、究極の憎悪。それはこの世界のおきな憎悪の塊に他ならなかった。
「誰かが人を殺めればそこから敵意が生まれる。そして、仇。再び敵意は生まれ、そしてこれが大いなる争いとして広がっていく。これが人の定め。争いなくしては生きられぬ人間の悲しき性よ。」
 エリスは自分達兄弟いったい何を勝てとしてこれまで戦いあってきたのかそれを考えれば、おのずとこの闘いの行く末は見えてくるのだ。
「フハハハ。ワンサウザンドウォーズ!」
 アレスはエリスに対していった。
「我らが戦えば、その先は大いなる千年戦争に陥るかも知れぬ。」
 アレスはそういうが、エリスそれに言い返す。
「フッ!!そうはいかぬ。今度の今度はアレス!!お前をたおしてくれよう。」
 エリスの脳裏に前回の苦しい戦いがよぎる。

―――約2000年前、冥界…

「ハデス殿。これで、我が妹の封印は完了したのでありますな!?」
 アレスは、そうハデスに言う。瞬と同じようなその顔には、わずかな憂いがあったが、ハデスもまたアレスに答えた。
「余がこの先この場所に封印しておけば確かにエリスはもう復活はせぬ。」
 しかし、ハデスはアレスに向かっていう。
「しかし、エリスがこの地に封印されてしまえば、アレス殿。自身が当惑するのではあるまいか?」
 ハデスの言葉の意味に困惑し、アレスは聞き返す。
「何を!?余は少しばかり難しいことは苦手なのだ。簡単に話してくれまいか?」
 アレスがそういうとハデスはフゥとため息をつくと、答えた。
「戦争とはアレス殿とエリス殿のいがみ合いから生まれるもの。それがたたれてしまえば、人と人との争いは意味のないものへと変わることでしょう。」
 ハデスはさらに続けた。
「そう、そこには理由なき闘いが世に満ちるということ。」
 アレスはそれを聴いて答える。
「かまわぬ。余がこの世の中の闘いのすべてを統治できるのであれば。」
 それより現在までは理由なき闘いが続けられることとなる。

 

―――――現代
 あれから2000年も経ったろうか?エリスの封印されていたつぼに異変が生じた。それはハデスがアテナと最後の戦線を始めた頃のことであった。
 エリスはわずかに覚醒する意識の中でハデスとアテナの聖闘士たちの戦いを眺めていた。それよりもおかしいことはどうしてハデスが死してもいないのに自分自身の意識がこうも復活しているのかということであった。どうもハデスとアテナの戦線の以前に自分自身の意識は覚醒してしまっている。ハデスはいきながらすでに死へ向かっているのだろうか?それよりも自分を呼び覚ます別の力があったのであろうか?よくわからない。
 そんなことをおぼろげに考えていたときのことだった。つぼのすぐぞばに3人の男が立っていた。
「どうする?ラダマンティスよ。」
 ミーノスだった。
「どうするもこうするもない。これはエリスの壺。この封印を解けばさらに屈強な冥闘士がこの冥界に集まってくる。そして、聖闘士ですら冥闘士としてハデスの元にひれ伏す。」
 言うが速いかラダマンティスはつぼにかかるアレスとハデスの封印をとこうとしてかかった。しかし、封印は解けない。
「だめだ!!こんな紙切れ一枚が何ゆえ敗れんのだ!!」
 ミーノスは紙切れ一枚をはがせずにいるラダマンティスを見て、呆れるとすぐに自分ではがそうとした。
「そんなはずはありません。私がやりましょう。」
 ミーノスがはがそうとするがやはり空かない。
 エリスは外を覗くとその3人がどうやら現代に蘇った冥界3巨頭であると分かった。しかし、いかな冥界3巨頭といえども神の封印が沿う簡単に解けるものでもない。
「ところで、このつぼの前にかかる女性の絵は一体誰なのでしょう?」
 ミーノスはラダマンティスにそう聞いた。
「ああ、これか?これはおそらく封印前のエリス神であろう。」
 ラダマンティスはミーノスがその絵についてたずねたのが不思議になって思わず聞き返した。
「何かこの絵が気になるのか?」
「いやそういうわけではありませんが…」

それから数日して、ミーノスという男が、何度となくこうして絵の前座し、エリスの封印を試みようとしていた。
 エリスは覚醒しかかる意識の中で、その男が何ゆえこうまでして自分自身を復活させようとしているのかわからなかったが、あるとき一人の女性の名がミーノスの口からこぼれた。
「エリー…」
 男は一瞬その言葉を口にしたが、すぐに元に戻ると、
「誰だ!?エリーとは!?」
 自分の口にした言葉に疑問を持つ。エリスは意識が覚醒していくに従い、その男に興味を覚えるようになった。そして、あるときミーノスの意識に潜入する。
 心の奥深く、生前のミーノスに住む一人の女性。その名もエリー。その女性は前回の聖戦から愛しく愛していた自らの肉体とそっくりであったのだ。エリスは事情の全てを理解する。これによってエリスには覚醒後の筐体のありかが分かってしまったのだ。

 

 

―――――双児宮
「さあ!アレス。最後の攻撃を受けてみよ!!

 

ディーペストヘートレッド!!」

アレスはその攻撃を体中で受けてたつと、体中からあふれ出してしまいそうな噴気にさいなまれながらも、それに耐え、ついにはこう答える。
「ふっ!!エリスよ。やはり復活が完全ではなかったな!」
 エリスは一瞬ためらうが、なおも技に威力を付けた。
「それとも、長き眠りのうちに私の能力がはるかに超えてしまったか?」
 アレスはそういうと、エリスの攻撃に対し、再び反撃する。

 

「食らえ!!

 

アルティメットストライク!!」

 

アレスは再び巨大な隕石をエリスに降らす。
「ぐっ!わぁぁぁ!!」
 エリスは思わず悲鳴を上げる。エリスの体は見事に隕石に隠れて見えなくなると、その中心に埋もれていった。
「フハハハ!勝ったぞ!!」
 もはやアレスは勝利を確信した。
「長き眠りの間にいかに人間の闘争心の発達したことか!?これぞ我が力。大いなる闘いの神はまたひとつ前進したぞ!!」
 ミーノスと共に沈められたエリスであったが、双児宮の外で繰り広げられたその惨劇はまるで本当の隕石の跡かのようにものであった。プスプスと煙を上げる。しかし、
「さあ、我が妹を葬った気持ちはどうだ!!」
 隕石のような跡から一人の男が這い上がってきた。ミーノスだった。
「しぶとい男め!!」
 ミーノスはそういうと、体の埃を払う。
「みろ、この私の体につく埃はほとんどなかった。つまりキミの攻撃はまったくこの私には通じていなかったのだよ!」
 アレスは憤る。
「ばかな!!今度こそ貴様を屠ってやるぞ!!」



 


決戦!!
神々が火花を散らす!!

第27話
壮絶!竜対虎!!の巻
キミは小宇宙を感じたことがあるか!?
感想どしどしお待ちしています!


トップへ戻る