8月10日、水平線から上ったばかりの太陽が、部屋をオレンジに染めているのに気づいて飛び起きた。かろうじて写真を一枚撮るが早いか、太陽はすぐに雲の中に消えていってしまった。その残した光が遥かな日本海上空ににじんでいるのを、スケッチブックの見開きに描いた。対馬の最北端、比田勝の国民宿舎から。この日は昼すぎまで、雨風ともに大荒れで、太陽は朝一瞬だけの顔見世だった。
   
同じ国民宿舎からの漁火。午後7時半、まだ空に明るさが残っている。


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