essay

 

…人と自然をつなぐものとしての建築…

ネイチャーセンターって知ってますか?

 

  今年は、駆け足でやってきそうな春ですが、そんな季節に、是非足を運んで頂きたいと思っているのが、このネイチャーセンターです。

  ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、身近なところでは、都立東京港野鳥公園内にあります。もともと、この野鳥の楽園(聖域=サンクチュアリ…実際は、はっきりいって、「駆け込み寺」と言った方が当たっていますが)は、東京港の人工的な埋め立て地に、計らずもできてしまったささやかな湿地帯を、目ざとく見つけた野鳥と人間が、力を合わせて自然豊かなサンクチュアリとして、拡大していったものです。その公園内に、野鳥を観察する事によって自然を知ると同時に、野鳥の生息を妨げないのはもちろんのこと、繁殖を促す手だてにもなりうるような建築物として、ネイチャーセンターがあります。

  皆さんは、「建築物」と言うと、まずはじめに考えるものは、自然の厳しさから人間を守るためのシェルターとしての建築、つまり、人を自然から守るものとしての建築を思い浮かべられると思います。実際、建築物を建てるにあたり、一番重きをおいて考えられるテーマは、この事だと思います。しかし、このように、人を自然から守ると同時に人から自然を守るものとしての建築、つまり、人と自然をつなぐものとしてのサンクチュアリ建築に目をむけていけば、自ずと、自然との共存について考えが及ぶのではないでしょうか。

  むつかしく考える前に、とにかく一度行ってみて下さい。

  園内には、ネイチャーセンターの他に、純粋に野鳥観察をするための観察小屋や観察壁、学習生態園を控えるエコロジーセンター等があり、お弁当でも持って、一日のんびり過ごすには、格好な場所だと思っています。

  広場で広い空を仰ぎ見るのもよし、ネイチャーセンターから水鳥を間近にみるのもよし、ただ歩き回ってみるだけでもきっと何かが得られると思います。

  私としては、サンクチュアリ建築にかかわりを持った経験からしても常々思うことですが、住宅をつくる時にも決して無縁ではない自然との共存について、あなたも春を感じながら、考えてみませんか。

                                

 

サンクチュアリについて詳しくお知りになりたい方は、

  建築資料研究社発行「造景 bQ4」をご覧ください。

 

 



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