essay

 

学校の空間  ―ゆるやかなつながり―

  先日ちょっとついでに、と歩いてみた幕張のとりすました街並みの中で、唯一(?)街に大地にしっかりからみついているような建築、打瀬小学校(シーラカンス設計)に出会った。

吸い込まれるように、というより、いつのまにか入り込んでしまっていたその器の中には、たまたま授業参観か何かで各クラスに数名の父母が混じっていたということもあったが、特にことわりもなく入った部外者の私も、何の違和感もなくいられるような空気があった。

そこはいわゆるオープンスクールといった形式のもので、廊下や教室がきっちり壁で仕切られているわけではなく、机と椅子があるコーナーが、ふわふわっとからみあって空間をなしている。そのため、ちようど午後の授業の最中だというのに、おきまりの学校建築にある廊下の静けさ(というより、あれは寂しさなのではないかと改めて思った)といったものはなく、かといってうるさいわけでもなく、子供たちの生き生きとした動きや感情がそこかしこに感じられて、とても心地よいのである。迷路に入り込んだときのように、久しぶりにワクワクドキドキしながらの探索であった。

子供の教育云々を論じる時に、個々の住まいのありようについてはもちろんのこと、特に幼い子供たちが一日の大半を過ごす教育施設の空間について考えることの大切さ、更にはその可能性を、痛感した日であった。

 

  

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