essay

地域を感じる −浦和らしさ−

 20年ほど前、初めて浦和の駅前に降り立ったとき、そこはちょうど大きな転換期をむかえているところであった。これから造られていく大型店舗と広場のために、いくつかの建物が、すっぽりと囲われて、姿を消しつつあった。その荒涼とした風景も、今では欅をはじめとする多くの並木に助けられて、駅前広場としては、比較的潤いのあるものに育ってきているのではないかと思う。
 とはいうものの、浦和らしさはどこに?といわれると、首を傾げてしまうのは私だけではないはずだ。以前はどうであったかはいざしらず、浦和の場合に限らず、見知らぬ土地への玄関口となる駅前の印象に、その地域らしさをみいだせる機会は少ない。
 その浦和に住み始めて4年ちかくになり、私もようやくこの地に根付いてきたのか、以前はわからなかった地域性が、幸いな事にだいぶ見えてきた。めまぐるしく変わる町の様相におされながらも、宿場の名残や、見沼の自然など、営々と引き継がれてきた、数々の浦和ならではの豊かさがある。
 この浦和らしさを、生かすのも殺すのも、それはほかでもない、この地に住まう人々のあり方次第だということを、あらためて思いながら住人として設計者としてなすべきことは何か、常にさりげなくかつ積極的に、考えていきたい。
 
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