週後半は修羅場を予定しているため、会期としては今日しかあるまい、とマティス展を見に行くのに思い立つ。久々の上野で、大宮行きの電車からおりて駅構内、公園口には先行チケット売り場があって、ここでチケットを買うと若干安いのだが、同様の割引券を持っている拙者としてはそのまま西洋美術館に直行――?
その、先行チケット売り場が長蛇の列なのだ。
お目当ては、マティス展。
ちくしょうこのばばあども有閑かてこんな平日真昼間からぞろぞろぞろぞろそうかあれだなあれだろ最近皇后様がお見えになったからって皇室ブームでお前ら殺到したんだろ冗談じゃねえやヨン様の尻ィ追っかけてたと思ったら今度はマー様かよブツブツブツブツ。
かなりのいやな予感をしつつ、改札を出る。
なんだこの人々。
思わず今日は休日だたったかしらんと携帯を確かめまして候。なんだこの人のごじゃーぶりは。これで平日であったら土日旗日はどうなっているのかしらああ考えたくない考えたくない。てくてうと国立西洋美術館に行っても並びで20分と来たもんだみのもんとぅあ!
断念。
ぎゅうぎゅうの列におされて色々の化粧品のミックスを嗅ぎながらムンムンむれむれの中にいたら気が狂う。
仕方なくアメ横方面。と、石のテーブルがあって、いやに毛並みのいい黒猫が(↑写真)三匹ころんころんと転げているのである。毛ヅヤもいいしなぁ、路上生活者の人々によほどかわいがられているに違いない、と見ていると、なにやら棒を持ったオッサンがやってくる。棒の先にはネコじゃらしようのねずみのぬいぐるみがぶらんぶらん揺れていて、転がっていた猫がやにわに飛びついている。男はスポーツもののジャンパーにヒゲぼうぼうのサングラスで、いかにも路上生活者なのだが、オッサンが移動するごとに三匹もうろうろとついてまわる。ずいぶん慕われた飼われ主で、主人の隙を見て猫はちっちゃなねずみに飛びつくのである。
しかし、すわ、これはなにかの大道芸かしらん、と思って見ているのだが、オッサンは一向に見世物らしきことをするでもない。大瀬の群衆の中で拙者一人だけがこの一人と三匹の動向をずっとうかがっており、ショウの始まりを――お、とうとうオッサンがこっちを見だしたので、そそくさといなくなることにする。
それにしても上野公園は猫に優しいのだな。路肩にぽつんと丸まっている猫を見ると、一心にキャットフードを食べていたり、真っ赤な口紅を塗ったうえでカップスターを食っているオバアハンの脇で二三匹折り重なっていたり、なんかまぁ、マティスもいいが、それ以上に猫の血色のいいのに感心したのであった。
いつも入り浸る古本屋で一時間物色の後ボウズ、アメ横を通って御徒町→西荻窪、徒歩で帰宅。さすがに草臥れたが、三鷹→上野=380円が、西荻→御徒町290円となることで90円の得となったわけである。これは大きい。
そして拙者がみみっちい。