twnovelまとめ


2009/12/03

131
#twnovel 発情期のウミイグアナに襲われる宗庄芭蕉七十二歳。必死の抵抗の甲斐なくガラパゴス島にて後門の初体験を遂げてしまう。その晩、身を張って密猟者の銃弾から宗匠を守ったウミイグアナが一言「お忘れですか、15年前に破門になった路通です」――。「荒海やサドに掘られる後ろ側」
132
#twnovel 宗匠芭蕉、日頃の勤の褒美として南蛮渡来の天竺鼠を賜ります。「はて困る。全国行脚の身だに」上様からの賜物を粗末にするわけにもいかぬし……と、考えていたのも数日。「おおそうか、こんどは菜っ葉が食べたいかよちよち」と宗匠えびす顔。「冬の日やもるもっとに餌を盛るもっと」
2009/12/12

133
#twnovel 鳥取県道54号豊房御来屋線は鳥取県西伯郡大山町から鳥取県西伯郡大山町を結ぶ主要地方道である。初っ端からこれかよやってらんねぇぜ、と豊房御来屋線を googleで調べたら「嫐神事?」とある。一気にやる気が出てきたが期待して調べた人は俺と同じ末路を辿る。鬼にもがれる。
134
#twnovel 伊予小松藩の初代藩主、一柳直頼は大坂の陣の時には十三歳。人質として江戸に留められた後寛永十三年、三十四歳で遺領を継いで藩主となつた。――とそれだけでも記事として残るのだから殿様は偉いものである。がしかし、顔貌も人柄も何も伝わらず、文字列は骨灰のようだと思われた。
135
#twnovel 「ない、かねえ」「いくらなんでも嫐(うわがみ)ホウキーズはない」「サッカーにホウキが良くないのか。伯耆だのに」「嫐がないだろう」「なんでだ、地元の神事だに」「女男女だ」「嫉妬されるか、イタリア人に」「そうではなくて」(西伯耆の方言に各々変換してお楽しみください)
136
#twnovel エウリュポン朝のスパルタ王、エウダミダス一世は温厚で人に慕われていたが、縞柄のトランクスしか身に纏わぬことで有名だ。しかも無類の猫好きで、パンツの中に猫を五匹飼っている。今日も大広場での喧嘩の仲裁に躍り出た。「えうー、喧嘩はダミだす」「あ、デカパンのおじさん!」
137
#twnovel アカテナンゴ火山。語源は「嫁の糞」という意味で、よく食べよく泄す嫁が優秀であるという価値観を示しています。三年に一度火山が二つに割れ、地下から闘技場が競り上がってきますが、ここで族長を決める斗いが行われる様子を日本に持ち帰ったのが、後のゆでたまご先生です。
138
#twnovel 堀割の底の線路には蝉の声が反響する。風も人も時計も無く、こうして凝と蒼天の気圧に耐えている。汗はかかない。影も落とさない。十二分に一度、七百二十数えると一度電車は通るが、停留場に止まることはない。いつしかホームも失くなって、僕の体の中を電車が通り抜けていく。
139
#twnovel ああ鷺だ、と思うのである。あたしにとってはひとつの約束事のようになっていて、鷺を見ると遠くへ来た気分になる。山陰本線を東に、延々と続く辣韮畑を横切る鷺、四国から本州までフェリーに乗って、フェリーから電車で岡山まで向かうまでの水田で見た鷺、皆独でぽつり立っている。
140
#twnovel 富士には月見草が良く似合う。とはいうものの、この樹海の中では月見草らしき植物も見当たらず、持っているものといえば福引で当たったシャボン玉セットだけであった。歩くかシャボン玉を吹くかしかない状況である。少しは慰めになる、とも思えないのでそう思えるまで袋は開けない。






twitter