twnovelまとめ:現在001〜278までアップしてます。(2012/2/14)


2011.6.16

271
#twnovel 高速バスの中で身悶えている。すでに深夜のトイレ休憩は終わり、あとは明け方まで一直線ときた。鮨詰の社内、1000円くらいケチるんぢゃなかったがあたしゃエスパーだ。膀胱の中の、水たまりを外へ、外へ。うまいこと膀胱中の水は移動を始めたが、バスが急停車してつんのめった。
2011.6.25

272
#twnovel 眠れないので窓の外を見ていると、目下を豆腐が通り過ぎようとしている。下から足をにょっきり生やし、この距離であのサイズに見えるのだから、実際は二米四方くらいあるのではないか。豆腐は私の家の前で立ち止まると、ぷるぷると逡巡して、意を決して呼鈴を押すと全力で、逃げた。
2011.7.26

273
#twnovel 骨のような月とは何か、と聞かれたのであった。まあるいまあるいまんまるい、ぼーんのような月が。頭蓋骨であると答えた。なるほど、と返事があった。夜半、盆の上に頭蓋骨を載せ、月の光に光るのを肴に酒を酌む夢をみた。目が覚めてから「安直だ」と呟いてみた。畢竟、安直だった。
2011.9.10

274
#twnovel 毒虫に変身したはいいが、人間サイズなのできっと化け物扱いされるであろう。それよりもなによりも、裏通りの、長屋の共同便所の脇の、虫屋の店頭を不意に思い出した。あの、吊るされた、沢山の巨大な肉塊の正体が判ったのだった。全身の毛は抜かれているが、おそらく、あれは多分。
2011.9.21

275
#twnovel 愛と勇気だけが友達、とはいうものの向こうはそう思っていなかったようで、其れ以上の関係を求めるべく互いの隙を突いてアンパンマンに迫るふたりであった。ずいぶんな修羅場刃傷沙汰もあったが、数年後、蝋の翼で大空に飛び立つイカロスによりそう勇気の姿が。勇気一つを友にして。
2011.11.2

276
#twnovel 筋骨隆々の狐が云うには「いろはにほへとちりぬと10房の葡萄がある。このうち酸っぱくて酸っぱくてしょうがねえのがあるがどれか、色と形で選べ、さぁ選べ」とのことである。「いかりの葡萄です」「怒りの葡萄!」「スタインベックか!」ハァー、チャンカチャンカトントンときた。
2011.12.8

277
#twnovel 北国の帝王、衛権は優秀ではあったが直情にして暴君であった。失態を冒す臣あらば足切りの刑を処して業火にぶん投げる。役に立たぬ臣達は次々と北国の夜を暖めては消えていき、案の定、国は滅びた。足切りをした臣達を火にくべた様子は「炬燵」という言葉として現在まで残っている。
2012.1.12

278
#twnovel 「今の世にこれほどの侍がおろうとは……」世間は広い。筒井主税はあらためて木刀を握り直す。臼杵翁は握りしめた得物、もとい五尺はあろうかという一物を真直に構えて悠然としている。「打たれれば打たれるほど儂の紫雁高は硬さをますのぢゃ。さぁもっと強く撲て!」「ごめん無理」






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