twnovelまとめ


2009/12/31

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#twnovel 植木等 in ハリウッド。「プヮーッと参りましょう!」の「プヮーッ」のニュアンスがアメリカ人ではどうしても出せない。仕方なく植木等だけフルCG、「プヮーッ」の部分だけ過去の映画からの合成で継ぎ接ぎロードショー。結局フランケンシュタインのリメイクには興行的に勝利。
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#twnovel 寂しさに宿を立ち出てみれば、身を刻むような極寒の浜辺だ。こんな天候でもはるか沖に漁火が見える。この大晦に出る船などあるのだろうか。するとどうだろう、灯は風に煽られるようにふわりと浮かぶと、ふらふらと浮き上がった、かとおもうと垂直に落下して沈んでいった。大丈夫か。
2010/1/1

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#twnovel 蓬莱の美酒振舞わん古稀の宴、とは祖父・加藤況々庵の句である。勢いで句入りの大徳利までこしらえた方々に配った。まだある。織部の大徳利がすらりと並んでいる。況々庵、生きていれば八十七である。徳利を股間にあてがうとなかなかいい感じだが、やはり思い直す母親の実家にて。
2010/1/24

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#twnovel 村を荒らす泥男対策に呼び出されたのは高名な物理学者だ。「おい泥男、おまえは如何して己が身を支えている。骨があるのか。無ければ支えられまい」泥男は威勢よく走り回っていたが、はたと立ち止まるとぼたぼたと崩れ落ち、ただの泥の塊に戻った。「どうです、これが科学の力です」
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#twnovel 村に住む物理学者対策に呼び出されたのが死神である。「人間、おまえは如何して己が身を支えている。この蝋燭よ。火が消えればおしめえだ」途端にすっ飛んできた女が死神から蝋燭をもぎ取ると吹き消した。「火なんぞ使うて遊んでたら寝小便垂れるぞ、馬鹿者が」やべえ、母ちゃんだ!
2010/01/25

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#twnovel 某という武士が往来で茄子を跨いだところ、蟾蜍が出てきて命乞いをした。別に殺める気もないことを伝えようにも言葉が通じず困っていると、背後からぷうんといい匂い。見ると、茄子が美味しく焼けている。「違う俺じゃない、俺ではないのだ」当然、夢オチではない。オチてさえない。
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#twnovel 売れ残りのカツを束ねて塩をかけ、油を絞る。香辛料や調味料、発色剤である亜硝酸塩などの食品添加物を加えて塩漬け、熟成させるとハムになる。いわゆるカツハムというやつであるが、これを薄く切って衣をつけて揚げるとカツハムカツとなり、カツハムカツをハムにするとカツハ(略)
2010/2/2

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#twnovel ボウリング球の中には小さいおっさんがいて、日々突っ込まれる指の形を見て「○ぅー!」とか「×ぅー!」とか判断している。別に若い女性がいいとか男の指は嫌だとかいう好き嫌いはないらしいが、好みの指であるとおっさんも酒がすすむんだそうだ。壺中の小さいおっさんから聞いた。
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#twnovel 長年蒸篭の底で取り忘れられ続け且つ蒸され続けた小龍包は、とうとう付喪神として蒸篭に同化し、焜炉に同化し、終にはこの星と同化した。いつしか鹿児島は桜島の噴煙から、何故か得も言われぬ肉汁の匂いがして多くの人の腹を鳴らしたのだが、原因はこんなところにあったのである。
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#twnovel この寒いのに全裸で路地を行く人がある。逃げまわるのを宥めすかして聞けば、間男をしていたところ相方の主人が帰ってきたので窓から慌てて飛び出したとのことである。交番への帰り道、不憫というかみっともないというか、方々の家の玄関に豆の散らばる夜だ。火遊びの果て、服は内。






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