twnovelまとめ


2010/03/10

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#twnovel 筋骨隆々のロシア人の三兄弟が、揃いの法被でカップヌードルを啜っている。「この肉のようなものがうまい」「しょっぱくてうまい」「やや乾燥している部分もあっていい」普段は牧師、外国人タレント、ピザ職人という三兄弟だ。ロシア語、日本語、英語に精通し褌に難儀する三兄弟だ。
2010/03/24

212
#twnovel 鬼子母神堂に降る驟雨は題目と木鉦が呼んだようであった。寺入口の公衆便所から出てきた老人は褌一丁であったが、垂れた肌を震わせると本堂からの律動に合わせて雨の中を漕ぐように踊り始めた。時折りしも逢魔ヶ時だ。薄闇の中、この光景を見た人があらば「変態だー」と呟いたろう。
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#twnovel 「卒業式のあと体育館裏に来てください」と下駄箱にあったのでドキドキしながら向かうと「ふははは、待っていたぞ!」とまっぷたつに割れる体育館。げえっ、地下からリングがせりあがってくる!「こらー!勝手に体育館を改造しちゃいかーん」やべえ教頭だ!「普通に体育館を使え!」
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#twnovel 「春と修羅」とは云ひますが修羅とはなんでせうか。修羅とは爭ひの事です。「春と爭ひ」と云換へても良う御座いますか。夙に妙です。春がしつくりきません。春の嵐、ビニルの袋が砲弾の様に飛んで往きます。足元を見れば蕾を携えた桜の枝、私の方に首を擡げて麗々と落ちてゐました。
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#twnovel まるかいてちょん、まるかいてちょん。こうして森羅万象あらゆるものに目玉を描いていくと、却って得られる生の浅薄が浮彫になるらしい。小さい順に蜜柑に描いたまではよかったが、炊飯器の上では只の模様となり、テレビの画面では頗る画面が見にくくなり、後でこっぴどく叱られた。
2010/03/27

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#twnovel マンキツにいくという爺さんを珍しいと思いいっしょに出かけたが、駅前のネカフェは素通りし電車にゆられバスにゆられると郊外の温泉というか健康ランドであった。湯に浸かりビールを飲み全身マッサージを受けると「じゃあ帰ろうか」をせっかちな年寄である。でも満喫には違いない。
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#twnovel 女王様が三日ぶりに流しの食器を洗っている。一回ごとに洗えば済むのにどうも洗剤をとるのが面倒くさい。面倒くさいのはきっと物の配置上、若干ボトルが取りにくいからだなぁと思い立った。スポンジがボロっちいので新しいのを買って帰ろう。とメモして今宵も「館」に女王様ご出勤。
2010/03/28

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#twnovel 坊やに100円あげよう、これでジュースでもお買い。ありがとうパパ、じゃあ9900円のお釣りだね! 羽柴博士が故郷のことを語るときに必ずと云っていいほど出るのがこのエピソードですが、かといって博士の後々の研究のルーツになっているかと云うとそんなことはないのでした。
2010/03/29

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#twnovel 各家庭の下水から流れ出た毛髪は下水に棲む老婆の手によって着々と蓄積される。「この髪を拾ってな、この髪を拾ってな、鬘にしようと思うたのじゃ」ところが、蓄積された髪と垢は何の神秘か生命を宿し、瞬く間に老婆を飲み込むと、淀みに潜っていった。下人? 私の横で寝ているが。
2010/04/02

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#twnovel 吾輩は猫である。名前はMarda-9。いくつも時代があってもはや兵として生まれたか生として生まれたかわからなくなってしまった。サーモグラフセンサの奥底に軒下の暗いところでニャアニャアと鳴いていた記憶だけはある。が、いつか見た別の廃墟での光景だったのかもしれない。






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