twnovelまとめ


2010/06/19

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#twnovel 高速回転する金魚を想起せよ。金魚は金魚として認識出来るか? 苦しんではいないか? 其処は空中か水中か。いくつもの質問をされたが、私の脳には煌煌たる金魚の朱と、麗麗とした眼ばかり脳に焼きついている。日暮れて家に帰ると、らんちうの女房が台所に突っ伏して事切れていた。

242
#twnovel 木蓮寺の和尚が空を飛んでいるというので村中大騒ぎとなった。確かに青空のもと、坐禅を組んだまま和尚が気持ちよさそうに、いや、風に流されている。ところが待ってくれえ、と声がするのを見れば全裸の和尚。おい、あの僧衣をだれか取り戻してくれんか、寝ている間に脱皮したのだ。
2010/08/07

243
#twnovel 神様は弱っている人の横に行くといつも座り込んでじっと期待している。絶望の淵の人々に「助けて神様!」と云われるのを今か今かと待ち構えている。云わぬものには飽きるまで罰を追加し、屈して助けを求めるものには何もしない。腕時計を見て「ちょっとかかったかな」とか云ってる。
2010/08/08

244
#twnovel 審美眼のない男がふらふらと美術の森を歩いていた。路傍に座り込む人々に声をかけては「私はどちらへ歩けばいいのでしょう」と尋ねている。人々の言葉は審美眼のない身には役に立たず、行商から買った審美眼鏡もそれほど面白いものではない。畢竟水面に写った自分の顔が一番面白い。
245
#twnovel 死んだ母の財布にしまわれた写真の中で、自分に似た男が微笑んでいる。母はこの微笑を買ったのだとわかった。手に入れるのが幸せ。私の大好きな口の形。もしかすると知らぬ間に背後にいて、わざわざ私に打ち明けたのかもしれなかった。そういえば硝子玉は見知らぬ子供に全て遣った。
246(欠番)
247(欠番)
248(欠番)
2011/05/09

249
#twnovel 月に上る縄に辿り着いた。頑張って上っていけば月兎の国に行けるというが釈然としない。地球が回っているということは同じく月も回っている。縄をただ下げたとしたら回転で留まっているはずがないよ。モギリの老婆は口をもぐもぐさせていたがたまらず天空に飛び去った。天狗だった!
250
#twnovel 「猿、森の民間じーん」とボギー大佐を歌いながらジャングルを往くと、樹上の民間人たちも「ざる、ぼりどびんがんぢーん」と声を揃えて歌う。それ以上の歌詞は考えていなかったため「猿、ゴリラチンパンジー」と正統派替え歌に戻すと「ここにゃゴリラはいねえずら」と確かな静岡弁。






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