twnovelまとめ


2011.5.27
261
#twnovel 君が繰り返し大人になって「ワタシー?まだじゅはちヨー。ヒリピンから出てきて18年」何度も何度も遠くへイって「社長さん上手ネー、アタシ初めてなのにいっぱい気持ちヨカター」見守る僕が「てんちょーこのヒト乱暴すルー」眠れない僕が「この薬イイヨー」くしゃくしゃに(送還)
2011.5.28

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#twnovel ま、ぼやいていても始まりません。自分の力で動かせるものを動かすのが、せめてもの救いである。窮理ばかり求めると、光源のないところに光は無いように思い込んでしまいますがイヤイヤサニアラズ、光は、ある。別に誰かを救えなくていい。己が生き延びる扶けとなる小さな穴はある。
263
#twnovel どうだろうね丙吉、抜けられるかね。抜けられねえことはないんですよ旦那、塀だって何だって、ゴリゴリ齧っちまえば道になるんすから。鼠だか土竜だねどうもね。自分が人だという思い込みさえ無くしゃ、きっとどうにかなるもんですよ、ほれ、行き止まりぢゃなくて、只の植え込みだ。
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#twnovel 他人樣の恋愛なんぞ面白いもんですかね? それが面白いんだ。俺の方がうまく出来るてな下手な恋愛は見てて面白い。自分だったらもっと上手くやれると自惚れるんだ。色ごとなのに自惚れなんておかしいや。だいたいそうだ、人の恋愛が好きなんてえ連中は、好きてえ己が好きなんだな。
2011.5.29

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#twnovel でかいでしょう。元は食品工場という木造建築の中に特大の水槽がちぐはぐだ。老所長の頭をひと飲みにしそうな金魚の口だがぱくぱくしている。でかすぎてどうしようもなくてですね、私が死んだらともっとどうしようも無い。「金魚迷惑ですしね」と返事したのは僕で17人目だそうな。
2011.6.01

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#twnovel バンドネオンの大女将がヒャラリー。大谷石の玄関を入ってきた客にヒャラリー。300人の社員旅行の宴会中にヒャラリー。朝、バイキング朝食の片隅でヒャラリー。これで上手ければ云うことがないのだが、本人は「たまの失敗はスパイスかもね」と云って憚らない。何処で覚えたそれ。
2011.06.04

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#twnovel 出来心の獣が騒ぐので、板塀をみんな黒く塗り替えた。「昔から黒塀って粋なものだったんすよね」と、評判は上々だ。出来心の獣は塀板の節目に向かって腰を振る真似をする。よせ、よすんだ。真夜中、腰を振れるサイズの穴を開けるべく、こっそりと庭に降り立った。全て出来心である。
2011.6.9

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#twnovel 「隠れっがもだんしゃ! ばんぞもげれっでごしゃぐる」「万事、おろしょっしよ」「ぜげん、放下りゃさんばろし」今更ながらに振り向いて「おまん、そろそぎ去んしゃがらどん」「しかて、もっちわりるでら」「しゃかね、もん尽きんしょうもあっけし」「ぷりりー」「めんずのんのー」
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#twnovel コンビニの中は鬱蒼としていた。うっそぉーと思いたければ思え。蒸し暑いのは蒸し物をしているからで、床ではうら若き(多分)娘がタロイモをすり潰している。「イラターイ」屈託の無い笑顔に思わずタロイモの蒸したのでもいいかと思ったが、水道料金を払いに来たのであった。帰る。
2011.6.15

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#twnovel わさわさ。うっかり夕飯をすき焼きにしそびれたばかりに、春菊が増え始めています。流しの脇の桶に入れておいたのに、音を立てて増えていく。「明日こそすき焼きにしようねえ」「明日は踊りの会ぢゃない」「いけない忘れてた」寝室の外の廊下までわさわさという音が聞こえてきます。ている。






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