★友だち『ビビ&ダンちゃん物語』★


 平成11年初夏、お店の看板犬、ビビとダンちゃんがわが家にやって来ました。

 飼い主さんの娘さんが入院したため、急きょ預かることになったのです。



    「また、同居犬が増えたのかな?」
    と首をかしげるもも子だったのです

◎わが家にホームスティした時の物語を「わが家のペット(岩手日報社編)」に「絆」という題で投稿しました。





きずな

「絆」

      近所の姉妹と仲良く散歩

 数年前に二匹の白い小型犬が、わが家にホームスティしたことがありました。

 飼い主さんが家族の入院の付き添いのために世話が出来なくなり、預かることになったのです。  そのワンちゃん達とは月に数回程度は会っていたのでしたが、特にビビちゃんというメスの方は、  なかなか飼い主さん以外には慣れない犬で、しかも大の男嫌いで、私などは会うびにいつも激しく吠えられておりました。

 ところが、わが家に来たその日から、四六時中私にベッタリの犬に大変身したのです。私の姿が見えなくなると、  不安で吠えるので、風呂やトイレの際はドアを少し開けておくのでした。あたかも私を新しい主人と認めたかのようになついたのです。

 そしてある日、飼い主さんから、私宛に一通の手紙が届きました。思わしくない娘さんの病気に悩み苦しむ母親からの涙の痕が滲む手紙でした。  読んでいるといつしかビビちゃんがやって来て、私の顔をのぞき込んだかと思うと、その手紙の臭いを嗅ぎ始めたのです。  そして、懐かしい飼い主さんの臭いがする手紙にまとわりつき、「クーン、クーン」と悲しげにうめいたかと思うと、  玄関に向かって走り、窓枠に手をかけて立ち上がり首を左右に振って外を見回し、飼い主さんを捜し始めました。  オスのダンちゃんもビビの様子に飼い主さんが来たのかと勘違いしたのでしょうか、普段はおとなしいのに、外に向かって吠えはじめたのです。   主人を慕うその健気な姿、絆の深さに目頭が熱くなり、二匹のワンちゃんたちを思わず抱きしめたのでした。


お姉ちゃんの病気が
治りますよう観音様に
お願いする ビビちゃん

 そんなワンちゃんたちを大好きな飼い主さん、そして、病院のベッドで写真を見ながら、苦しい治療に耐えながらも、  自分のことよりワンちゃんを心配していた娘さんに何とかして会わせてあげたい、私は考えました。
 
 そして、決心しました。二匹の犬をダンボール箱に入れ、「お願い!静かにして」と念じました。  エレベーターに乗っては他の人に気づかれます。私は病院の階段を六階まで一気に駆け上がりました。  事情を察したのでしょう。犬達は箱の中でじっとしてくれました。そうしてうまく病室にたどり着くことができたのです。  ダンボール箱の中から出てきたワンちゃんたちは、目を丸くして驚く母親と娘さんに一目散に飛び込み、  優しく愛撫してもらったのでした。
 
 そんな出来事もあった約一年半のホームスティでしたが、ワンちゃんたちにとってそれは、  大変悲しい帰宅となってしまったのでした。
 
 でも、ビビちゃんとダンちゃんから少しずつ元気をもらった飼い主さんは、現在、私たちと一緒に愛犬を連れ、  老人保健施設などで触れ合い活動に参加して下さっております。
 
その後の二匹のワンちゃんは私と会っても、一通りの挨拶をするだけで、後は知らん顔。これでいいのだと思いながらも、 少し寂しい気がしているのが本音です。




ダンちゃん、ありがとう。

 みんなに愛され、たくさんの希望と勇気と安らぎを与えてくれたダンちゃん、ありがとう!
 平成16年10月11日 ご主人に見守られ、静かに息を引き取りました。(ダン 11歳)

 ダンは、大好きだったお姉ちゃんと再会し、残された家族みんなの幸せを願ってます。 だから、ご主人様も、あまり悲しまないで、希望と勇気を持って生きていって下さい。 それが、ダンからのたった一つのお願いです。そして、たまにはダンのことを思い出して下さい。
      いつの日か再び巡り会える日まで
        

          ダンちゃんの分まで、ご主人に寄り添ったビビちゃん。しかし、優しいご主人に見守られ、ダンちゃん、お姉ちゃんのところに旅立ってしまいました。


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