アイスランドの歴史(1)

 アイスランドは東にノルウェー海、北はデンマーク海峡、グリーンランド海に囲まれた絶海の孤島である。にも関わらず、小さいながらも独立国として、豊かな国として、繁栄している。そんなアイスランドであるが、最初は無人島であった。
 アイスランドであろうと推測できる土地が最初に発見されたのは紀元前325年ごろ。発見者は、ギリシャ人のビュティアヌス。ブリテン島の北に日の沈まない島を発見したのである。しかし、彼に続く冒険野郎は出現せず、その島は打ち捨てられたままになり、アイスランドの無人島時代はしばらく続く。その後に、アイスランドに人が着た証拠として、ローマ皇帝ディオクレティアヌス(在位284〜305)の時代に鋳造された硬貨の発見がある。しかし、この硬貨は、遭難したゲルマン人のおまじないのために埋められたと考えられているので、これをもって入植者がいたとは言えないし、硬貨は耐久性があるのでディオクレティアヌス帝時代以後にアイスランドに流入した可能性も多分にある。

 さて、一般にアイスランドに最初に入植したとされるのはアイルランドの修道士達。彼らはかつての宗教の影響か、極めて厳しい環境に身を置いて修行し、神に近づこうとする傾向が強かったらしい。したがって彼らがアイスランドにやってきたのは、修行の一環として捕らえることができる。しかしこの入植は動機が動機なだけに規模は大きくなかったらしい。
 大々的な入植は、ゲルマン人(主としてノルウェー人)が入植を開始するまで待たねばならない。ゲルマン人が島に現れ始めるようになったのは、860年頃らしい。彼らは辺鄙な土地に人がいるのを見て驚いたらしいが、修道僧の方も彼らを見て驚き、何処かに退去してしまったらしい。
 これ以後、アイスランド入植の主役はゲルマン人が占めることになる。最初に本格的な入植を試みたのはノルウェー人のフロシという男だったが、あえなく失敗。彼はこの島を『氷の島』と罵って退去。これ以後この島はアイスランドと呼ばれる。

 フロシは入植に失敗したが、同じくノルウェー人のインゴルフが874年ごろ、アイスランドに入植を試みる。彼は成功。以後60年にわたり、アイスランドへの移民の流入が続くことになる。移民の多くはノルウェー人であった。当時北欧は土地が不足しており、特にノルウェーではハーラル美髪王の統一政策によって国を追われるという事情があったためと思われる。
 この北欧からの移民も930年ごろには一段落する。ハーラル美髪王が移民に出国税をかけたことや、アイスランドに余剰の土地がなくなったことなどが原因である。そして、移民が一段落した930年、最初のアルシングが開催される。

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