2005OKAYAMAチャレンジカップレース第8戦(最終戦)/05.12.04
2005年岡山国際チャレンジカップレースも締めくくり、シリーズチャンピオンのかかった最終戦です。毎年最終戦までチャンピオンの権利を残しながらも苦杯をなめ続けて4年、もうここで負けたら一生チャンピオンなんて捕れないかもしれない。そこで普段はめったにしない集中テストをレース前3日間にわたって実施した。主なテストメニューは、前後ホイールオフセットの見直し、常にアンダー方向にセットしていた足回りの見直しと、燃調の再セットです。ホイールオフセットは前戦でも少し試してみたが時間不足で細かい所まで詰め切れていなかったので再度オフセットの違うホイールを持ち込みテストした。ホイールオフセットをかえてみようと思った切っ掛けは、JAFスポーツに掲載されていた1枚の写真。その写真はと言うと、新生富士のこけら落とし耐久レースの優勝車の1コマ。装着されていたホイールはTE37、見るからに大地に根を張った様なワイドトレッド仕様は一見してロードスターレースご用達のオフセット15とわかった。「これは何かあるやろ」って、この目で確認の為、第2戦富士のN1400レースまで足を運んでそっと実物を観察。思った通りのTE37/14×6.5j/off15、でそのクルマの走りをコース脇で確認「何があるのかはようわからん」これは自分で試してみないとしょうがない。さっそく帰ってヤフオクで同じホイールを落札、テストに備えた。

足回りに関しては、現在のTRD製は崩さず、前後新品のものを用意し、バネレートの変更で操縦性をかえてみる事にした。テストはレースの前の週に2時間、レースウィークの金曜日に2時間、翌土曜日のレース前日公式練習日に1時間の計5時間、土曜日は本番用タイヤの様子見くらいにとどめたいのでそれまでにセットを出すように努めた。まず懸案のホイールのオフセットから、フロント6.5joff15、リヤ6.5joff43で走り出す。びっくりする程の回頭性でも無くまぁそれなり、ただ路面のうねりを拾いまくり、直進性が悪くちょっと不安定。タイムも1分54秒後半で、目標の53秒台は見えて来ない。次に、同じくフロント6.5joff15でリヤ6.5joff28のリヤワイドトレッド仕様で試して見る。やはり直進安定性は悪く、リヤの入りももう一つ、タイムも54秒半ばで今いちぱっとしない。ここでフロント6.5joff15は選択肢から一端外し、前後6.5joff28を集中的にテストする事にする。このセットで決まれば、予選・決勝で前後タイヤのローテーションが可能となり、予選で心置きなく踏んで行ける。走り出してみるとこの仕様が最も走り易く、タイムも54秒前半(コースレコード付近)がコンスタントに出るようになって来た。この時のタイヤは3レース程使ったスリップサインすら無いようなツルツル、ブレーキも前回のレースで使った中古品。ここまでサスペンションは一切触らず、これでレコードに近いタイムが出ると言うのは心強い限り、これでホイールはこのセットで行く事に決めた。

明けてレースウィーク、久しぶりに金曜日からサーキット入り、この日はサスペンションのセットに精を出す。まずフロントに16Kgのバネを入れ走り出す、リヤは今まで通りの14Kg。少し頭は入るようになったが、イメージとはちょっと違う、タイムも54秒前半で延びて行かない。次にフロントを14Kg、リヤを12Kgにそれぞれ落とし走ってみる。ちょっと走り易くなって来たので、バネはこのままで減衰をいじって見る事にする。この時点でタイムは念願の53秒台に突入、減衰は一気に大きく振りその後微調整で詰めて行く。ここへ来るとタイムがどんどん安定し53秒台を連発、時には86のスリップをもらい53秒前半を記録。まだまだタイヤは古フル、パッドも終わりかけでこのタイム、本番の予選仕様ならレコード1秒アップも夢では無くなった。クルマはもうやる事が無いくらい仕上がったので気分よくこの日のテストを終え、当方は久しぶりに岡山市内まで夜のお散歩に出かけた。

翌土曜日公式練習、最初の30分は昨日のままのクルマで再チェック、流して走っても53秒6を記録、本番がドライならレコードは確実に出せるはず。ところがところが、決勝日の天気予報は雨のち曇り、またしてもレコードはお預けかも。まぁ今回の目標はレコードよりもシリーズチャンプ獲得、ポイントランキングは当方が2ポイント差でここまでトップ。最終戦のポイント配分は、優勝18ポイント、2位15ポイント、なので2ポイント差はひっくり返る可能性もある。ランキング3位のクルマとは差が多きので#78と#22のどちらか前でゴールした方がチャンプに成れる勘定。今シーズンに入ってからの#22の突進はすさまじくちょっとミスると立場は一気に逆転してしまう、ただウェットは若干苦手のようでそこが今回のキモになりそうだ。午後の練習では本番用のタイヤを履きチェック走行、走行後はウェットを視野に入れてのタイヤの組み換え等をし翌日に備えた。

明けて決勝日、予報通りの雨模様。レコード記録は不可能になったが、これで意識をチャンプ獲得一本に絞れるのでかえって気が楽になった。クルマはベストなのでここで調子を崩したく無く、あえて雨セットには振らず、タイヤのみ横浜048(SSコンパウンド)とした。ウェットの予選では、終了間際に路面が回復と言う事が過去に多々あったので、大事をとって燃料をいつもより1リットル余分に積んで走り出す。048(SSコンパウンド)は新品では無く8分山のユーズド、それでもグリップ性能は高くフロントの手ごたえは十分、今回スターレットは全車048(SSコンパウンド)を履いて予選に望んでおりタイヤでの有利、不利は無い。計測開始直後に2分7秒台を記録、リーダーボードに#78トップが表示される。2番手はやはり雨に強い#29、直接の対決相手となる#22ミカホンさんは3番手。翌周回#29がタイムアップをし当方を逆転、このまま3周程膠着状態が続きセカンドタイムのまま予選終盤へ。ここでいったんクーリング、ヘヤピンからショートストレートまで流して走る、そこへ後方からアタック中の#29が迫って来た。当方もペースを上げ#29のアタックの邪魔にならないように間をとる。#29はこの周(6周目)がベストで1分5秒210、当方はそのまま最後のアタックに突入、ここまでのタイムは5秒4で2番手のまま。アトウッドを立上がって前方を見ると、マーチとシティーが一台づつ「この2枚壁を使って一発」、ところがやや距離があったので、マーチのスリップから抜け出たのがストレート中盤過ぎてから「シティーに届くのか・・・」「ウーん 届かん」っと思った瞬間がっくり来たがブレ−キングポイント直前で#7シティーがインを空け道を譲ってくれた。この2枚壁でバックストレートの通過タイムはぐっと延び、後半テクニカルも無難にこなし予選トップの2分04秒781をマーク。ライバル#22ミカホンさんは1秒遅れの3番手、このままウェットなら決勝は逃げ切れそうで一安心。

決勝直前になって雨もほぼ止み空がやや明るくなって来る、ただ路面は相変わらずのウェット状態。決勝での作戦はただ一つ、#22より前でゴールラインを横切る事のみ、雨が得意な#29の突進には一切関知せず、#22を押さえ込めばそれで勝ち。久々に思えるポールポジションにクルマをつけ、サーキットクイーンさんと話しているとあっという間に1分前表示。フォーメーションは小細工はせずにやや低速で隊列を引張る、再度グリッドにクルマを止め後方のグリーンフラッグを確認、回転を4500でホールドし消灯を待つ。5秒前表示、直後にレッドシグナル消灯、ほとんどアクセルを踏み込まないままするするとスタート。体に力が入り過ぎて押さえ過ぎた、直後にセカンドポジション#29が猛ダッシュ、なんとか1コーナーイン側へクルマを寄せ#29の先行を食い止めホールショットを決める。続く2コーナーは押さえぎみに通過しアトウッドは2速で進入。裏ストレートでは徐々にクルマを右に寄せインを押さえに行くが、アウトから#29に列びかけられてしまう。続くリボルバーへはヘアピン立ち上りでアウトに回った#29が有利であっさりパスされた。まぁここまでは想定の範囲内、あとは全力で#22を押さえにまわるだけ。オーバーテイクされた直後素早くリボルバーイン側へまわり込み、立ち上りで#22をアウトに押し込む。この一瞬が今日のレースのハイライト。

ここまで来るとややタイヤも暖まり、ラインの自由も効くようになって来る、続くダブルヘヤピン以降はみるみる#22を突き放し、前方を行く#29と当方の#78が周1秒以上の差で後方を引き離す。この後3周程度は#29に貼り付いていたが、ライバル#22がはるか後方に下がってしまったのでややペースダウン、阿吽の呼吸で#29も同時にペースダウン。#29は当方の思惑がわかっているので無理をしない、当方も無理な走りをせず#22の動きだけに目をやる。

終盤路面がどんどん回復、ラインが出て来るとがぜん#22の走りに力が入って来る。周2秒以上のハイペースで追上げて来るが時すでに遅し、当方の3秒差まで迫ったところでチェッカー「捕ったどーっ!」っと叫びながら2位でゴールラインを横切った。スターレットデビュー戦でいきなりポール、その後2年近く連続ポールを続け、入賞・優勝を繰返したにもかかわらず捕れそうで捕れなかったシリーズチャンピオンをようやく参戦4年目で手中にした。残すは達人さんの持つコースレコードを塗り替えるのみ、これはまたいつかチャンスが巡ってくるだろう・・・。

チャンピオン獲得までの長かった道のりを、懲りずに応援していただいた「ベクトルZEP虎ラムズEP82」関係者の皆様、この場を持ってお礼を申し上げます。「ほんとうにほんとうに ありがとうございました」
































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