「文学横浜の会」
読書会
評論等の堅苦しい内容ではありません。2011年09月03日
伊藤左千夫「野菊の墓」「奈々子」
今さらの感無きにしもあらずですが、「野菊の墓」いかがでしたでしょうか?
昭和30年発行の新潮文庫だけで平成21年版・110刷に到達しておりますので、老若男女にいまだに読み継がれていることは間違いありません。
読み継がれる訳について当日もご指摘がありましたが、たぶん明治十年代と想定される封建的な土壌のなかで芽生えた少年少女の恋心のいぢらしさ、今日的にも共有されるみづみづしさ。やがてイトコである民子が歳上ゆえに大人たちによって引き裂かれる悲運。
そして死。とくれば、おびただしく流される涙は作中人物だけにとどまらず、主に同居人などの目を気遣い、タオルで顔を隠す者、トイレに移動する者など、110刷の新潮文庫だけでもどれだけの涙が文庫本のページに滴り落ちたか知れません。
と思いきや、当日7名ご出席のうち、半泣きを除いて、3名の方が「泣かなかった」ということでしたので、伊藤左千夫先生もどう思われることやら、カタルシスの快感を堪能できたのは4名ということでした。
以上をもちまして、今回「野菊…」と「奈々子」のささやかな「まとめ」とさせて頂きます。
以上、河野記
(文学横浜の会)
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