「文学横浜の会」
読書会
評論等の堅苦しい内容ではありません。2011年10月01日
ベルハルト・シュリンク作「朗読者」、 サブテキスト短編「ガソリンスタンドの女」
この作品の多面性を物語るように各位からさまざまな感想が述べられた。
「朗読者]においては「少年と成熟した女との愛」「文盲の女への愛の行為としての朗読」「ユダヤ人虐殺に関わる罪と罰」
3本の糸が変容しながら20年の物語として絡み合うから、色々な読み方ができる。そこがまた面白い。
「何故、ハンナは18年の刑期を終えて出所する前の夜に自殺したのか」
作者は冷ややかに「僕はハンナの横に座り老人のにおいを嗅いだ」と書いている。
老醜という現実。それは「ガソリンスタンドの女」のテーマでもある。
エロスを失った男女の愛の廃墟からの脱出。ハンナは死によって脱出したのだろう。
僕はこの作家は一貫して「エロス」を書き続けている作家だと思っている。
以上、山下記
(文学横浜の会)
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