「文学横浜の会」
読書会
評論等の堅苦しい内容ではありません。2013年04月13日
中上健次「岬」
今月の読書会は、春の嵐により当初の予定日が1週間順延されたため参加者は7名と少なかった。
「岬」は「枯れ木灘」(1977年)と「地上の果て至上の時」(1983年)と共に秋幸(主人公の名前)サーガ3部作といわれている一番目の作品である。分量的には、篠田さんがページ数を提示されたが、「岬」は他の2作に比べ圧倒的に少ない。
「岬」は秋幸と姉、母、親戚、そして実父の存在=複雑に絡み合う血族関係を、この一群れの集団の日常生活を描く中で浮き上がらせていく。
現代の作家の中では、西村賢太が中上の文学に近いのではないかと複数の参加者から感想が出た。
46歳の若さで亡くなった中上ではあるが生きていれば今年は67歳。その3歳年上には丸山健二、その3歳下には村上春樹がいて両者ともその創作意欲は衰えを知らない。中上が生きていれば、どのように今の時代と向き合ったのかと思うと残念でならない。
今回は2度目の読書当番ということで、前回の丸山健二に続き二人目の「けんじ」 である中上健次の「岬」を取り上げたが、三部作の他の2作を読了していない私は、中上文学の入り口に立ったばかりである。
以上、佐藤記
(文学横浜の会)
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