「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

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2013年09月07日


宇野千代「おはん」

 宇野千代の代名詞とも言える『おはん』については
「女流作家の最高峰とも言える見事な作品」
「告白体(懺悔体)が内容をよりリアルにし、文体での成功をおさめている」
「初めて読んだが、たいへん面白かった」
「面白いが、思っていたほどでもなかった」
 等々、温度差はありましたが、おおむね高評でした。

 寡作で、『色ざんげ』他、代表的な小説は数作しか書いていない千代ですが、『生きて行く私』に象徴されるように、実業家として小説家として、そして女性としての先駆的生き様がその文名を高からしめたことは否めないでしょう。
 奔放とも言える男性関係を是とする方も非とする方も、体験豊富な千代の言動に学ぶべき何かを知り得るからこそ、夥しい数の書籍が回顧的晩年に集中したのではないでしょうか。
 今日も男女問題に迷える多くの読者に『おはん』がevidenceとして読み継がれている由縁ではないでしょうか。

    以上、河野記

(文学横浜の会)


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