「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

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2013年10月05日


魯迅「阿Q正伝」「藤野先生」

魯迅(明治14〜昭和11);中国の小説家、翻訳家、思想家。本名は周樹人豫才。

「阿Q正伝」
 阿Qという近代中国の一庶民を主人公とした、他に例を見ない物語として注目を集めた。 毛沢東が支持して、中国の高校の教科書に取り上げられ、中国人によく知られている。 日本でも教材とされ。日中両国で支持された。世界にも翻訳されている。

「藤野先生」
 魯迅が、東北の医学校(現東北大医学部)で学んだ時の恩師、藤野先生の思い出を小説風に書かれている。 実直な先生というより、ある種の村風子然とした風格の先生である。 この作品を発表することで、藤野先生の消息が分かり、再会できればとの期待を込めて書いたようだが、 ついに、藤野先生との再会はなかったという、

<出席者感想>
阿Qが銃殺されるところ、不条理性を思わせる。
国民性の三千年の病理を愁いた作品。
中国大衆の無自覚性を鋭く突いた作品。
阿Q独自の「人生勝利法」の滑稽さ、面白さが興味深い、何でも自分に都合よく解釈して、勝利を叫ぶ。
阿Qに限らず、誰でも、多少は持っている普遍的にある性癖かもしれない。

藤野先生は、短編だが珠玉の名作、淡々と味わいのある作品。
阿Qと藤野先生の2作を比較すると、日中両国の国民性の比較がよく分る。

    以上、浅丘記

(文学横浜の会)


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