浅田次郎
「鉄道員(ぽっぽや)」「ラブ・レター」
■全体的意見(作家に対する意見)
・読ませる筆力を持った作家である
・日本人の気質(浪花節的義理堅さ)を熟知しており、これでもかと言うほど呼び起こそうとする
・琴線に触れる書き方をする
・作り話ぽく、深みが感じられない
・小学生の頃から作家を目指し、自ら出版社に原稿を持ち込むなどしていた執着心はすごい
・小説題材を見つける触覚が並外れてすごいと思う
・大げさである
・職人的である
・サービス精神旺盛な作家である
・今回の2作は「滅びの文学」である
■『鉄道員(ぽっぽや)』
・あり得ない(嘘っぽい)幽霊話を放り込んでも、読ませてしまうのは上手い
・鉄道員(ぽっぽや)の無念さが描かれている
・鉄道の変遷、栄枯盛衰は時代を捉えている
・会話に味があり上手い(北海道弁が効いている)
・細かな取材をせずに書き上げたのであれば、作家の技術は並外れている
■『ラブ・レター』
・悪い人間を書いていない
・中国人女性の純粋で美しい人柄が涙を誘う
・中国人女性があまりにも純粋な形で書かれている気がする
■所感
浅田次郎という作家は大学に行っていない。高校を卒業すると自衛隊に入隊する。その後裏街道を歩み、作家になったという変わった経歴を持つ。
作家という職業は、読み手がいて初めて成立する職業である。
彼自身もそのことを熟知している。
『人間の』、『男の』悲哀を多くそして敏感に感じ取ってきたからこそ、読み手に多く均等に『救い』分かち合えるのではないだろうか。
以上、遠藤記
◆次回
担当は山下さん。
日時;10月4日(土)18時〜
テーマは「真景累ケ淵」(岩波文庫)、三遊亭 円朝 (著)
書店、AMAZON,「日本の古本屋」又は図書館等で…。
青空文庫にも掲載されています。
(http://www.aozora.gr.jp/)
(文学横浜の会)
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