「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

これまでの読書会

2016年06月07日


谷崎潤一郎

「春琴抄」

担当(河野)

とかく話題にさらされる「春琴抄」であるが、
映画演劇のみならず、今日までに122 版を重ねていることからも、
ひろく国民に読まれている作品であることがうかがえる。

「愛のかたち」は様々あるが、視力を失った春琴の世界に 盲目になってまでも、共に棲みたいとねがう佐助の一途な愛は感動的であった。

芸事の厳しい修行を背景に芽生えたマゾヒズムを軸に、春琴と佐助にしかわからぬ秘密の関係を展開しているのは見事だ。

4歳下の師匠・春琴のために宗旨を改め、墓の傍に、春琴より小さな墓を佐助は生前に 建立するが、この辺は谷崎美学が創作させたノンフィクションだと思う。

春琴が死亡した明治19年に、谷崎潤一郎が生まれたのも、縁起を感じさせられる。

以上 河野 記

◆次回の予定;
  日 時;7月2日(土)17時半〜
  テーマ;「機械・春は馬車に乗って」横光利一
  担当者;遠藤さん

  9月の読書会テーマは決まり次第連絡します。

(文学横浜の会)


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