「文学横浜の会」
読書会
評論等の堅苦しい内容ではありません。2016年10月03日
村田沙耶香 「コンビニ人間」
担当(金田)
芥川賞受賞作、いや章を受けた作品そのものへの関心は薄れていた。
若い頃はそれでも芥川賞受賞作ぐらいは手に取ったものだ。
それがいつの頃からか、芥川賞受賞作を読んでもよく解らなく、
どうしてこんな作が受賞したのかと思う事が多くなり、
芥川賞受賞作に興味をなくしていた。
読む小説は多くの読者に今でも支持されている、
過去の作品を手にする事が多くなったが、
それがたまたま縁あって「コンビニ人間」を読み、
これならと、今回の読書会のテーマにする事にした。
『コンビニ人間』 概要
子どものころから、普通ではない考え方と行動をする主人公(私)、古倉恵子36歳未婚。
自分のどこが変なのか全く分からないものの、親に迷惑をかけないために無口を通す。
大学生の時、たまたま目に入ったオープン前のコンビニに惹かれ、アルバイトを始める。
コンビニの雑多な音に包まれた空間の中に、私は自分の居場所を見つけるようになる。
コンビニで働き続け、気がつくと18年が経過。
小さい頃から奇癖があり、問題をおこしていた私は、家族からは精神に異常のある人た恩われていた。
長じて周囲からの就職や結婚をしないことに対する、所謂、通俗的な質問も、妹のアドバイスを受けて、
当たり障りのないように応えていた。
そして、男性の新人バイト白羽と出会う。(出会うまでが長くて怠かった(私の感想))
お互いに社会に適応できない人間同士の出会いで、特異な世界の人間関係をユーモラスに描いた。
常識では考えられない、男(白羽)を自室に同居させる設定がこの小説では効果的だった。
私には白羽が同居していることを隠し通せる智慧もなく、と言うより、そうした行為に対する世俗的な思慮がなく、
知られたり知らせたりして、それが周りで、本人とはかけ離れた反応を起こすことを体感する。
私は、「こちら側」と言う世俗的な常識の範疇には入りきれない人間だと自覚して、結局、
様々な音に囲まれたコンビニにしか居場所がないと悟り、戻る決心を固めて終わる
この小説では典型的なダメ男としての白羽さんと私との絡みが、人間の滑稽さを引き出し、世間の通俗性を、
アイロニーに描き出している。
女なら(男でも)ある年になったら結婚し、結婚したら子供を産み、女と男が一緒に居ればセックス、
とスキャンダル的な事も含めて、世間的な予定調和の枠組みの中でしか人は安心できないのではないか。
しかしそうした枠組みに入れない者は偏屈、変わり者、社会性がない、等とされて、所謂「こちら側」にはいけない存在となる。
<メンバーの主な意見>
何時ものように賛否両論、様々な意見が出た。正確には再現出来ないが、以下の様な意見が飛び交った。
・好きな小説世界ではない。
以上 金田 記
◆次回の予定;
12月の読書会テーマは決まり次第連絡します。
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