「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

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2017年03月06日


向田邦子

「あだ桜」(「父の詫び状」より

担当(成合)

向田邦子に対する会員の印象

好感

・洋裁のデザイン、料理、キャリャウーマン、作家として憧れの人。亡くなって寂しい。
・超一流の作家として定評、文章はいぶし銀のようだ。
・さらっと読むと、なんでもなく思うのが勿体ない位だ。知性に感服する。
・作品のエンディングが素晴らしい。
・作品は戦前の生活へのノスタルジヤもあるだろう。
・細かく思い出し、昨日のことのように書いてある。
・読み返すと、昔読んだ時のような感じにはなれなかった。思い出としても、同じ時代の人との感性が通じないと、分からないのではないか
・一つの時代が終わったのかなと思える。

不満

・深みが無い。ドロドロとしたものを曝け出して欲しかった。
・自分の恋愛を書いていない。
・背中がピンとしていて、弱音を出さない感じだ。
・苦労人であるが、大衆に溺れているのではないか。

課題書「あだ桜」から

・祖母が居たことによる幸い
・厳格な父、それを慕っている母など、親の姿勢(知性・感性・生き方)、血筋を受け継いでいると作品からも思える。
・祖母が唱える御詠歌「明日あると思う心のあだ桜・・」を向田邦子も否定していない。
・作品を通して、肯定的に人間を信じると言うところが見られる。
・祖母の時代おおぴらな恋愛は、御法度の時代であつただろう。そのような時代の中での祖母の生き方。

「父の詫び状」の執筆について

・「銀座百店」からの依頼であった。
・店頭に置く無料パンフレット用であった。そのような依頼もあっただろうから、エッセイ風な軽い文章(ドロドロしない)になった。
・乳がんを患い右手が利かない状態であった。
・「遺言状」を書くようなつもりであったと、あとがきにあるのが重い。これらのことが思い出を詳しく書く気にさせたのだろう。 これらのことが作品に幸いしたと思う。
・「父の詫び状」によって、随筆家としても大きく認められた。

(提案者から)

・作品名と作者名しか知らず、その場しのぎの急ぎの提案でした。深く調べての提案でなかった事おわびします。 ただ、どうしてこんなに有名なのかと言う、かそかな疑問だけはありました。

 作品の生まれた状況などを教えていただき、納得するものがありました。個人としては大きな収穫でした。ありがとうございました。

以上

以上 成合武光 記

◆次回の予定;
  日 時;4月2日(日)12時〜
  テーマ;「文学横浜、48号」合評会
  担当者;

  

(文学横浜の会)


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