向田邦子
「あだ桜」(「父の詫び状」より
担当(成合)
向田邦子に対する会員の印象
好感
・洋裁のデザイン、料理、キャリャウーマン、作家として憧れの人。亡くなって寂しい。
・超一流の作家として定評、文章はいぶし銀のようだ。
・さらっと読むと、なんでもなく思うのが勿体ない位だ。知性に感服する。
・作品のエンディングが素晴らしい。
・作品は戦前の生活へのノスタルジヤもあるだろう。
・細かく思い出し、昨日のことのように書いてある。
・読み返すと、昔読んだ時のような感じにはなれなかった。思い出としても、同じ時代の人との感性が通じないと、分からないのではないか
・一つの時代が終わったのかなと思える。
不満
・深みが無い。ドロドロとしたものを曝け出して欲しかった。
・自分の恋愛を書いていない。
・背中がピンとしていて、弱音を出さない感じだ。
・苦労人であるが、大衆に溺れているのではないか。
課題書「あだ桜」から
・祖母が居たことによる幸い
・厳格な父、それを慕っている母など、親の姿勢(知性・感性・生き方)、血筋を受け継いでいると作品からも思える。
・祖母が唱える御詠歌「明日あると思う心のあだ桜・・」を向田邦子も否定していない。
・作品を通して、肯定的に人間を信じると言うところが見られる。
・祖母の時代おおぴらな恋愛は、御法度の時代であつただろう。そのような時代の中での祖母の生き方。
「父の詫び状」の執筆について
・「銀座百店」からの依頼であった。
・店頭に置く無料パンフレット用であった。そのような依頼もあっただろうから、エッセイ風な軽い文章(ドロドロしない)になった。
・乳がんを患い右手が利かない状態であった。
・「遺言状」を書くようなつもりであったと、あとがきにあるのが重い。これらのことが思い出を詳しく書く気にさせたのだろう。
これらのことが作品に幸いしたと思う。
・「父の詫び状」によって、随筆家としても大きく認められた。
(提案者から)
・作品名と作者名しか知らず、その場しのぎの急ぎの提案でした。深く調べての提案でなかった事おわびします。
ただ、どうしてこんなに有名なのかと言う、かそかな疑問だけはありました。
作品の生まれた状況などを教えていただき、納得するものがありました。個人としては大きな収穫でした。ありがとうございました。
以上
以上 成合武光 記
◆次回の予定;
日 時;4月2日(日)12時〜
テーマ;「文学横浜、48号」合評会
担当者;
(文学横浜の会)
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