「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

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2017年07月04日


ツルゲーネフ

「はつ恋」

担当(遠藤大志)

【主な登場人物】

・ウラジーミル・ペトローヴィチ 16歳 私 男
・ジナイーダ 21歳 女
・ビョートル ヴァシーリヴィチ 父
・マレーフスキィ 伯爵
・ルーシン 医者
・マイダーノフ 詩人
・ニルマーソキィ 退職軍人

私を含めた5人の人間はことあるごとにジナイーダの心がどこににあるのか確認しようと試みる。

【読書会参加者感想】

・若い時に読んでいれば感動したと思う。
・背景、家族、ジナイーダの家族など複数の背景、構成にて人間存在の哀しみが表現されている。
・文章が詩人、詩的表現で構成されている。
・女性は、100パーセントコケットである。

・ロシア文学は、閉鎖的、陰鬱、議論が多いのが特徴。
・創作の参考になることはないか?という視点で読んだ。
 16歳の青春の描写
・青春の描き方が参考になった。
 歴史的、筋立てがしっかりしている。
・若い時に読んだ時は、ジナイーダは、嫌な人間だった。
 今読み返してみると、違和感はあるが、男性を翻弄する辺りは上手く描写されており、昔ほど嫌な存在ではない。

・主人公が女性に惹かれていく心理描写がすごい。
・集団の中で弄ばれている。果たして入って行けるものだろうか?と感じた。
・国木田独歩にどのような影響を与えたのかが興味ある。
・はつ恋とは「失われることによって永遠に残る、美化されていく」ものである。

・誰の「はつ恋」を描いたのか?
 16歳の私、ウラジーミル・ペトローヴィチそれとも21歳女、ジナイーダの方なのか?
・最後の件が雑な気がする。(父の死、ジナイーダとの再会)
・プラトニックな恋愛は懐かしい気持ちを思い出させてくれた。
・はつ恋は誰もが共通に持つ普遍的テーマである。
・じっくり読むと面白い。ジナイーダが面白いし、心理もわからなくはないが、学ぼうとは思わない。
・すきっ腹にまずい物をを食わされたようで、感動は湧かなかった

【私の感想】

はつ恋は男女に関係なく生涯で経験するものである。
この作品はその内の一つを描いたものである。
経験こそ違うが、この作品を読み、自らのはつ恋は思いだすきっかけになったのではないだろうか?
1833年と言えば日本は江戸時代(天保3年) のことである。
この時代にロシアではコケットな女性が男たちを手玉に取っていたわけである。
この恋愛劇は200年近く経った2017年になっても、斬新で、読者の心を揺さぶって止まない。

話は変わるが、私はこの作品を読んで改めて感じたことがある。
@自分が好きな人しか愛せない。
A自分を大事に考えてくれる人を愛するようになる。

人間には2種類がある。
そして、ジナイーダは『前者』である。
こういった人は、たとえ叶わぬ恋であっても、自分の感情の赴くままに行動する。
むしろ、それを自制することが出来ない場合が多い。
はたして、読者の方はどちらであろうか?

以上 遠藤大志 記

◆次回の予定;
  日 時;9月2日(土)17時半〜
  テーマ;「ほかならぬ人へ」、白石一文
  担当者;藤村さん

  

(文学横浜の会)


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