「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

これまでの読書会

2018年03月07日


文学横浜

「49号」

担当(金田)

49号に掲載された作品数は創作11、随筆4の計15作だった。

これだけの数がそろえば、私が入会したころなら侃々諤々、とても半日では収まらないだろうな、 と思いつつ、私同様、メンバーも年を重ねて、他人の意見を素直に受け入れ、或いは受け流せる年齢的余裕が出来た、 と言う訳でもあるまいが、合評会はスムーズに進んだ。

さて、「文学横浜」に掲載される作品は当会のメンバー構成、 或いは日本の年齢構成を考えざるを得ない内容が散見されるのが最近の傾向だが、今回も同じだった。

多くの国民が直面し、これからも続くであろう問題は老々を含めた介護問題であり、自らの老いであり、 そして近親者の死である。どんな者であれそれからは逃れられない。

そうした要素を作品に取り込むのは文学の役目の一つであり、人間を知る上でも大いに参考になるのではないか。

掲載された作は様々なテーマの作品で、 中には何を書きたいのかが判然としないものもあるが、読み手にその判断を仰がなければなるまい。

随筆は作者の身辺雑記や昔を振り返る内容が散見されたが、一律に「随筆」として掲載するには如何なものか、 と意見があった。内容によっては「ノンフィクション」であったり「紀行文」、「ドキュメント」であってもいいのではと。

対応としては作者の意見に準ずるとの方針です。

大まかな内容は以下の通り。

「小さな砦」<創作>浅丘邦夫、
 ある会社におけるクーデター社長解任劇。

「うたた寝の夜」<随筆>石野夏実
 作者の日常の一端を軽妙に描いている。

「さやちゃんはいじわる」<創作>いまほりゆうさ、
 童話。

「レスパイト 〜 」<創作>遠藤大志、
 親の認知症をテーマにした作品の1章部分。

「琉夏と夜の庭」<創作>太田龍子、
 孫(琉夏)の目で見たおばあちゃん。琉夏の目に映るおばあちゃんの家がなんとも幻想的。

「アラスカの白熊は英語を喋る」<随筆>金子えい子
 アメリカ軍が駐留していた当時、こんな女性がいたのかと読む者には刺激的な作。

「さくらホーム」<創作>金田清志、
 あるグループホームにおける人々の人間模様。

「G」<創作>篠田泰蔵、
 家庭教師の出来の良くない生徒との奮闘と。その両親の人間模様が描かれている。

「山桜の森」<創作>杉田尚文、
 東北の山村に暮らす青年の不思議な物語。

「ガリバー太田 〜」<創作>日向武光、
 向こう見ずな青年の旅立ちまで。

「姉逝く」<随筆>福谷美那子
 姉の死に接して過去を追想する。

「今夜こそ吐血酒」<創作>藤野燐太郎、
 街の開業医から見た病める社会の一部を抉り出した作。

「思い出の小径(その4)」<随筆>松田芙代子
 副題「四季のおくりもの」として自然にみちた故郷の思い出にひたる。

「叔父の見た夢」<創作>山口愛理、
 姪から見た叔父の生きざまを描いた作。

「病院物語」<創作>山下淳、
 総合病院に勤める女医の目を通して社会の一端を描いている。


以上 金田 記

◆次回の予定;
  日 時;4月7日(日)17時半〜
  テーマ;「青梅雨」永井龍男 新潮文庫より
      「一個」と「青梅雨」の2作品


(文学横浜の会)


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