「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

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2018年07月08日


国木田独歩

「竹の木戸」「鹿狩り」

担当(河野)

国木田独歩の『鹿狩り』(明治31年『家庭雑誌』に発表・27歳)、 『竹の木戸』(同41年『中央公論』に発表・37歳・この年肺結核で死去) の短編2作はおおむね好評でした。

江戸の香りを残す明治4年の生まれで、樋口一葉より一つ年上である国木田独歩ですが、 「明治初期の日本人の文体かとおどろいた」 「明治という時代よりはるかに欧米の香りのする文章」で、 読む前のイメージよりも現代的な作品である印象を受けたという読後感が印象的でした。

自然主義文学の旗手・代表作家という厳めしい肩書の割に、
@筆運びが簡潔で表現がいちいち的を得ている
Aその文体を通じて、読者に考えさせ、目に浮かばせる巧みな力が感じられる
B海外の短編作家の名作を読んでいる気がする

などなどと、読むことで、そのイメージとの違いを発見して頂けたことが、担当者として嬉しいことでした。

しかしながら、とっつきにくいことも否めず、 「読みにくい」「斬新な感じは無かった」などの読後感を持たれた方もおられました。 12誌もの編集長を兼務していたセンスが、国木田独歩の人間観察に幅と深みを、 そして野次馬的視点を与えていたのかナ、と思いました。


以上 河野 記

◆次回の予定;
  日 時;9月1日(土)17時半〜
  テーマ;「氷点」(上)(下)三浦綾子、

  場 所;305会議室

(文学横浜の会)


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