「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

これまでの読書会

2019年09月08日


玄侑宗久

「中陰の花」

担当(清水)

 いつも読書会当番の順番が近づいて来るたびに、「今度は何にしようか?」と悩むのですが、 今回この本を読み終わった段階で、「これにしよう」とすぐに決めました。 今まで読んだことのない不思議な物語の世界に、すーっと引き込まれてしまったのです。

 まわりにいる人のことを心にかけ、思いが繋がり響きあうこの物語に、私はこの上ない美しさを感じ、 またこんな物語を書ける玄侑宗久という作者の器の大きさ、人柄の温かさに大きく包み込まれるような感じを受けました。 また、寺の日常生活や、子どものいない夫婦の間に交わされる深い情愛も、この作品の魅力だと思います。

みなさんの感想を以下にまとめました

・難しい作品で、さっぱりわからなかった
・この作品に描かれている仏教の死生観に共感した
・科学的な知識に基づいて書かれていて、共感できる

・大阪弁の味がよく出ている
・紙縒のシートがどんなものなのか、イメージできなかった
・分からないが問題を提起していると思った

・人間関係がおもしろいと思った
・仏教学入門書のようで読みやすかった
・小説全体が盛り上がりに欠け、平板な感じを受けた

・もっと面白い小説を読みたい
・いろんな事に誠実に応えようとしているところに好感がもてた

以上です。難しく感じて読むのが苦痛だったらしい方も何人かいらして、その方たちには申し訳なかったのですが、 私自身にとっては読み返す度に新しい発見があり、この作品とじっくり向き合えた時間はとても貴重でした。 お付き合いいただいた皆様ありがとうございました。


以上 清水 記

◆次回の予定;
  日 時; 10月 5日(土)17時半〜
  テーマ;「蜜柑」 芥川龍之介
   及び 「黄金風景」太宰治
  担当者;河野さん
  

(文学横浜の会)


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2007 文学横浜