「文学横浜の会」

 「掲示板」の内容

評論等の堅苦しい内容ではありません。
テーマになった作品について参加者がそれぞれの感想を書き込んだものです。
  

2022年04月07日


D『価格破壊』 金子えい子

<書き込まれた感想>

遠藤さん 2022/2/25 22:20 投稿

今回は金子さんが一番心血を注いだ洋酒の並行輸入の仕事内容について、かなり詳細に克明に書き綴っていると思います。
まだ外国産のウイスキーやブランデーなどが高嶺の花だった頃、いち早くそれらを安く見つけて、ルートを開拓し、日本に持って来て、ダイエーやヨーカドーに卸していたとの事。正に誰もやらなかった事に敢えて挑戦して、障害にぶつかりながら、押し進めて来た軌跡が書かれており、ただただ驚くばかりである。このような業界のタブーに切り込む事は、さぞかし怖い目にもあったと思います。
また、やっかみから警察や検察に目を付けられ、取り調べを受ける羽目になったという事。
それでもめげることなく、シベリアにまで足を運んで日本に持って来ていると聞き、ただただ唖然とするばかりです。
バリバリ働くキャリアウーマンの金子さんにも仕事を通じてロマンスがあったことを知って微笑ましく感じました。
最後の最後まで社員の為に骨を折ったその姿は素晴らしく、カッコいいと感じた次第です。

浅丘邦夫さん 2022/3/12 12:18 投稿

金子さんは、ご存知の世界を股にかけての女性ビジネスウーマンです。今回は、ジョニ黒など洋酒ビジネスのさまざまを楽しませていただきました。

中谷和義さん 2022/3/21 13:12 投稿

タイトルは、流通業界に旋風を巻き起こしたダイエー創業者・中内功をモデルにした城山三郎の小説と同じ。筆者の金子さんは中内と同じく、業界の様々な常識に挑戦し、「並行輸入の女王」と称された。その迫力に圧倒される。

阿王 陽子さん 2022/3/21 17:06 投稿

戦後を並行輸入洋酒ビジネスで、駆け抜けた、金子さんの半世紀の自伝。行動力、発想、手腕、ダイナミックでピカイチ。当時の女性の中でもたくましさは伝説的だったのだろう。スリルもあって読み応え十分。実際にお会いして当時の話をお聞きしたいと思った。

石野夏実さん 2022/3/21 20:56 投稿

今号では、49年からの固定相場1ドル360円の時代が去り、73年に変動相場制に移行直後1ドル260円となる頃、輸出から輸入に頭を切り替えなければ生き残れない貿易会社にあっては、輸入洋酒で勝負を決断の巻である。(260円を付けた後のドル円は、世界情勢を敏感に反映しながら大きく上げ下げを繰り返し今日に至っている)
ダイエー相手に並行輸入のスコッチ等取引。私もダイエーの店頭に並べられた驚くほど値が安くなっている、それまでは海外土産でしか見たことがない高級スコッチのジョニ黒、ジョニ赤、ホワイトホース、それにオールドパーやブランデーのヘネシーまでもが並んでいるのを見かけたことがありました。
これは、金子さんのお仕事だったんですね。洋酒好きには高嶺の花のスコッチが「価格破壊」でダイエーで安く買えるとは。金子さんのお商売は、みんなの役に立ち、値段が安くなることで普及に貢献するお仕事。ほんとに、今回もすごいと思いました。ひらめいたら素早く動き出す、その決断力とスピード。もちろん、ちゃちゃっと採算がとれるかどうかの概算の判断もして。
また今回は、プロポーズまでされていたリーさんとのことも書かれていて、ホロリとしました。。。
次号を楽しみにしています。

清水 伸子さん 2022/3/22 16:05 投稿

金子さんの歩んでこられた貿易商としての知恵と心意気に只々圧倒されました。

森山里望さん 2022/3/26 20:22 投稿

朝ドラのモデルになりそうなぐらいカッコイイと思いました。ご自分成し遂げた仕事を、時間を経たご自分の視点から記録するのはとても意義のあることと思います。

藤野燦太郎さん 2022/3/27 22:52 投稿

自分史は、結構苦労してついに最高の地位に就いたとか大きな会社に成長させたというの相場である。はっきり言えば自慢話で最後は鼻につくのが普通である。
その苦労も大抵素人が思いつく内容が多い。ちょっといいアイディアがあって、さらに人の2倍働いた。そして億万長者になった。こんな調子である。
だが、この作者の場合は入念な調査の後に、その時代では浮かばない大胆な発想が立て続けに出てくる。昔ながらの大手の輸入システムに挑戦し、「並行輸入の女王」とまで呼ばれる。だがこの女ドン・キホーテは業界の激しい嫉妬に遭い、ついに刑務所にまで入れられる。
しかしそれでもめげないのである。「我々は不当な利益を上げているわけでなく、高すぎるものをまともな価格にしようとしているのだ」という哲学を警察においても貫くわけである。自分がこの年まで様々な人に出会ったが、そのような大胆不敵な行動力を持った人は見たことも聞いたこともない。誠に痛快な自分史である。

成合武光さん 2022/3/28 10:53 投稿

すばらしい、の一言です。貿易に必要な書類の一枚も知らない、書けない。全く未知の世界ですが、どんな書類一枚でも、提出するまでは大変だ。まして隙を伺い、足を引っ張らんとする同業者のいる状況においては猶更だ。世界を飛び回る体力もさながら、気力、能力。驚嘆するばかりです。
 ほのかなラブもあり、人間的な、国際的な一代記です。
 今、騒然としているウクライナ戦争ですが、平和であることの尊さが金子さんの奮闘からも教えられます。その気力をもって、まだまだお元気なことを願っています。

林 明子さん 2022/3/28 23:54 投稿

女性の社会進出がまだまだ難しかった時代に、外国へ渡り輸出販売ルートを確立させ、成功まで辿り着くには、並大抵の努力や苦労ではなかったであろうと推察しました。
人望が厚い方なのでしょう。誠実で約束を必ず守り、的確に指示を出し、さらに前向きな姿勢が、たくさんの協力者を引き寄せたのではないでしょうか。
文末の「常にベストを尽くせば……」がそれを物語っているように思います。
一番引き込まれた場面は「警察に睨まれる」の場面。
臨場感があって、はらはらしながら読みました。
そして、リー氏とのロマンス。これはとても素敵な場面。
過去を振り返った時に、こんなふうに思い出せる人生の素敵な場面があることがうらやましいです。
当時の日本の社会状況も合わせて書かれた貴重な作品です。

金田清志さん 2022/3/29 10:15 投稿

いやいや、私のような凡人とはまるで異なる人生を歩んだ作者の、またまたその一端をみせてくれました。
まだまだ面白そうな話は聞いていますので書き残してほしい。
作者は今、体調を壊していますが、早く快復してほしい!

港 一さん 2022/3/29 17:41 投稿

文学という範疇を越えて、金子さんという人間がすごいと思いました。金子さんのような方々が活躍されたことで、戦後日本の復興があったのだ、と改めて感慨を新たにさせていただきました。

和田能卓さん 2022/4/1 13:23 投稿


『負けるが勝ち』のときと同じく、筆者はきっと芯の強い女性を演じるミヤコ蝶々さんのような人ではないか、と想像しています。
たくましく生きてきた人なんだろうなあ、迫力のある方なんだろうなあと、著者ご自身を想像しております。

山口愛理さん 2022/4/1 14:02 投稿

いつものように作者のパワーを感じる作品。サバサバとしてかつ理路整然とした文章は読んでいて気持ちがいい。細部の描き方や数字・データの生々しさ、時代の雰囲気の表現などが作品をよりリアルで小気味よいものにしている。

佐藤直文さん 2022/4/2 19:29 投稿

毎度ですが、判断力、実行力に驚かされます。社長として従業員とその家族の生活を預かり、失敗が許されない、たいへんなストレスのかかる中をよく頑張り抜かれたと思います。横浜の女傑であり、横浜の貿易の真の開拓者です。明治の初期、貿易は西洋人に牛耳られていました。商社が登場して日本人による貿易が行われました。私の勤めた会社も日本人に貿易を取り戻そうと創られた会社でした。文章から商いの楽しさが伝わってきます。商いは闘いであって、勝つか負けるかの厳しい世界であることがわかります。そこを勝ち抜いてくるには人の助けも必要だった。人徳が引き寄せていると思います。

太田龍子さん 2022/4/3 11:46 投稿

いつもながら金子さんのパワーに圧倒されました。時代の動きもよくわかって勉強にもなりました。ありがとうございます。

(文学横浜の会)


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2007 文学横浜