「文学横浜の会」

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2022年04月07日


I『六十年後の蜜月』 大倉れん

<書き込まれた感想>

遠藤さん 2022/2/25 22:58 投稿

最近入会され、初めて投稿頂いた作品です。
遠く離れた場所に一人で暮らすお父さんと長年連れ添って亡くなったお母さんとの出会いや、手紙でのやり取りを知り、二人の愛情の深さを知るしっとりとしたエッセイだと思います。

中谷和義さん 2022/3/21 13:17 投稿

母の遺品から見つかった、父から母宛てに送られた30通ほどの手紙を読んだときの記録。「幾分速くなった鼓動を感じながら、『読むよ』とつぶやいて便箋を取り出した」「私の知らない父と母、夫婦の匂いがそこにあった」「父は、日没までの陽を惜しむように、せっせと草を取り、夕食にのぼるキュウリやインゲンを収穫する。(略)思えばあれは、冬の長く厳しい北国にあって、短い夏の間に、父が母に贈る大きな花束だった」「ゆるぎなく美しいものは、過去」。文章が美しい。

阿王 陽子さん 2022/3/21 18:05 投稿

随筆と知り、驚いた。こんな、おだやかな夫婦の愛情の姿があるのか、と。作者のご両親の、静かに、ゆっくりと燃えていく暖炉の火のような恋情が、羨ましい。

浅丘邦夫さん 2022/3/22 08:35 投稿

短い随筆ですが、身につまされるものがあります。私も今、同じようような体験をしています。揺るぎなく美しいものは過去、その通りです。

清水 伸子さん 2022/3/22 15:39 投稿

亡くなったお母さまが気に入っていたワンピースの両袖で抱くようにして取ってあったお父様からの手紙…夫婦の濃密な愛情が伝わってきて感動しました。素敵な素敵な随筆です。

成合武光さん 2022/3/28 11:00 投稿

進行性核上性麻痺と、想像も覚束ないですが、難病とは酷。
施設の窓とドアのガラス越しの面会。昨今多く聞く哀しい事柄。そしてミイラの姿・・餓死。・・歯がゆかったでしょう。
 父の手紙・・半世紀前の「抱きしめたい愛する妻へ」
 父の花束・・父に手を引かれての庭巡りにはしゃぐ母。
「ゆるぎなく美しい過去」を持たれたご両親。素敵です。

林 明子さん 2022/3/28 23:48 投稿

「母」の病状や「父」と「母」の景色が終始優しいまなざしで描かれています。歳月が過ぎてもなお、温かい感情が流れ続けていくことに心が掴まれる思いがしました。一場面一場面が美しくて、儚いと言われる人生でも、一つ一つの生活や時間は輝いていることが伝わってきました。

金田清志さん 2022/3/29 06:30 投稿

短い文章の中で、両親を見つめる作者の素の心情が垣間見える作となっています。

山口愛理さん 2022/3/31 17:46 投稿

しみじみとしたエッセイ。偶然にも私も年長の友人を昨年、全く同じ病気で亡くしました。その友人は数年前に発病し、一昨年施設に入りましたが、その直前に一回だけ彼女宅にお見舞いに行けました。それが彼女に会った最後でした。なので、ここに書いてあることはよくわかります。古い手紙の束のエピソードは泣かせます。

石野夏実さん 2022/4/1 00:07 投稿

3ページほどの随筆の中に、ご両親が結婚される前からの、また仲の良いご夫婦として暮らした60年間が、娘からの深い愛情の眼差しで描かれていました。
特に圧巻は、お母様の衣装ケースに仕舞われていた、お気に入りのワンピースの袖に抱かれたお父様からの30通以上のお手紙。お互いに愛し合い寄り添い歩んだ夫婦の人生は、最高に幸せな人生だと思います。
「ゆるぎなく美しいものは、過去」 心からそう思います。色々な意味を飲み込んでもなお。

佐藤直文さん 2022/4/2 19:37 投稿

まさに蜜月とはこうなのでしょう。

太田龍子さん 2022/4/3 11:41 投稿

60年もの細やかな交情が心からうらやましく思われました。一方で私が亡夫に大昔に書いた手紙がどうなっているか気になってきました。

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