「文学横浜の会」

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2022年04月07日


J『文学作品と映像化(2)〜マチネの終わりに』 石野 夏実

<書き込まれた感想>

遠藤さん 2022/2/25 22:37 投稿

前回に続き、映画の評論をされております。
正に自分もこの、『マチネの終わりに』を姉妹サークル『文横映画好きの集い』で観た当事者である。
今回の作品は、平野啓一郎原作であり、ちょうど文横の読者会で、氏の『一月物語』を同じ時期に読んだこともあり、文学と映画の織りなす拡がりをテーマに書かれています。
僕自身も、文学と映画、両方とも同じくらい好きな為、それらを融合し、違う角度から検証し直すという行為は無意識にしています。
今回石野さんはその事を文章に落とし込んで、形ある物にしたという事は価値あることだと思います。
とかく原作と映画は似て非なる物と思われ、良くも悪くも言われがちであるが、それはそれで、両者を両方いい物という観点で見れば、それはそれで楽しめると思うのだが。。。

浅丘邦夫さん 2022/3/12 18:15 投稿

映像は、文学に勝てないと云う。そう思いたいが、その逆もありか、と、最近思うのですが、

中谷和義さん 2022/3/21 13:19 投稿

平野啓一郎の小説「マチネの終わりに」と映画化作品を比較・批評した。原作と映画では設定がかなり変わっているため「別物と思った方が良いのかもしれない」としたうえで、映画については「テーマ曲『幸福の硬貨』がオーケストラの演奏でダイナミックに流れ、最後はギター演奏で大きく余韻を残す。/観客が、ラストシーンからふたりの未来を創造するのに、最も相応しい最後となっている」と、エンターテインメントとして評価。原作に関しては「世界情勢、政治、経済、クラシック音楽など多岐にわたり、それらをうまく生かしながらダイナミックに恋愛小説を書き上げるとは、何とスケールの大きな小説家であることかと、あらためて感嘆した」と、純文学作家としての平野を称賛している。
 ひとつだけ気になったのは、文中に「分人主義」という言葉が何の説明もなく出てくること。平野ファン以外にはなじみの薄い概念なので、「一人の人間を分割可能な存在としてとらえる平野氏の『分人主義』」などと説明した方が親切だった。

森山里望さん 2022/3/22 15:07 投稿

平野敬一郎は好きで、「マチネの終わりに」も素晴らしい小説だと思っています。それだけに映画化されたキャスティングが自分のイメージ・小説の世界とあまりにかけ離れていたので、観ませんでした。原作とは別物なぐらい違うんですね。人物設定や、舞台が原作と大きく変わってしまうことに作者はどう思っているのかがとても気になります。

清水 伸子さん 2022/3/22 15:32 投稿

原作と映画化された作品を比較し、時代や監督に関することなど丹念に調べてあり、石野さんの文章力もあって最後まで興味深く読みました。ただ、私自身は小説を読んでおらず映画は観たものの主にキャスティングのせいかと思うのですが、違和感の残る映画だった印象が残っています。

阿王 陽子さん 2022/3/23 17:21 投稿

この映画評価を読んだあと、映画をプライムで見ました。わたしは原作は読まなかったので、以下映画の感想です。

おっしゃるとおり、石田ゆり子の国際派記者役がミスマッチで、似合いませんでした。違和感があまりにあるため、終始似合う女優は誰だろうと、思いながら見ました。福山は、きれいな細く長い指で、ギタリストの役もまあ、似合っていましたが、恋する眼差しではなく冷静な目つきで石田ゆり子演ずる洋子に話していて、ああ、気持ちが入ってるようには見えないなあ、と思いました。また、洋子がイェルコの義理の娘という、設定は、なんだか中途半端でした。幸福の硬貨のあたりも薄っぺらい気がしました。
全体的に音楽と映像がきれいで、ロケがパリ、ニューヨークなど、楽しめました。

成合武光さん 2022/3/28 11:16 投稿

「辻褄の合わなさ」― 簡便さの持ち込み‥のつながりが良く分かりませんでした。
世界情勢、政治、経済、クラシック音楽など多岐にわたり、それらを生かしながらダイナミックな展開を書く平野だということです。
「人生の長い最大の喜びは、真に自分を理解してくれる人の存在」…奇跡の恋人。と書かれれている所には共感しました。
「大方は分人主義」と疑問を提示されているが、どちらが正しいととも言いきれないのではないでしょうか。難しいことだと思いました。
取り上げられている作者が、文横の読書会の『一月物語』の作者のことだと知り、驚きました。機会があったら読んでみたいと思います。

金田清志さん 2022/3/29 06:49 投稿

主に「マチネの終わりに」作・平野啓一郎、について書かれている。
映画も小説も見ていない私には内容については何も言えないが、作者の映画好きな熱気は伝わってくる。
同じ作でも小説と映画とは別物と考えているのだが…。

林 明子さん 2022/3/30 23:52 投稿

「人生の中で最大の喜びは……」の部分について、確かに!と深く頷かされました。
「真に理解してくれる」のが本当であるかどうかは難しいのですが、出会えた人によって救われた思いがするとき、真に幸せであるものと思います。
これまで映画鑑賞の際、原作者の心情というものについて考えることをしてこなかったため、平野啓一郎氏の心情の推察や原作使用時の取り決めの部分は興味深く読みました。

山口愛理さん 2022/3/31 17:58 投稿

「マチネの終わりに」の原作と映画に関して、また監督や俳優についても詳しく私見やエピソードが語られている。長さもかなりある力作で映画好きな人にとっては興味深い作品となっていると思う。
ただ原作も映画も観ていない人のために、最初にp146下段のような解説があったほうが、誰にとってもわかりやすかったのではと思った。(私はまだ原作を読んでも映画を観てもいません。ごめんなさい。今度観ます)

和田能卓さん 2022/4/1 12:47 投稿

一読、映画版をAmazonプライムで見、そして原作本を読むよう、促されました。映画批評・紹介としての力、大きな文章です。

佐藤直文さん 2022/4/2 19:39 投稿

「マチネの終わりに」を通して、小説と映画の比較、分析を興味深く読みました。平野啓一郎は一度講演を聞いたことがあります。メモを一切見ず、滔々と流れるように話します。内容は鴎外、漱石の全作品を読了しましたなどと自慢げにいう。自信に溢れている。どこまで行くのか楽しみです。三島由紀夫を好きだという。おそらく三島の講演もこんなだったろう。

太田龍子さん 2022/4/3 11:57 投稿

原作も読んておらず映画も見ていないので何も言えなくてすみません。でも名作、人気作の映像化は難しいなといつも感じているのでこのテーマは面白いと思いました。

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